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[人工股関節のリスク] 短期入院 脱臼

ブログ検索#大腿骨頭壊死症
人工股関節の手術は痛みを取り去るには最良の治療手段です。それでも大きな金具を入れるわけですからリスクは存在します。

最近では技術の革新もあり短期入院が主流になりつつあります。大学病院に勤めていたときは3週間が当たり前でしたが、今では1週間、短いところでは5日間で退院を余儀なくされます。

そうした中で問題となっているのは、脱臼の問題です。

アメリカでは、1993年の変形性関節症へのガイドラインStreamlined clinical pathways改定以降、医療費削減の目的で手術後在院日数が減らされています。今日ご紹介する論文では手術後の入院期間は平均4~5日と記され、日本も欧米化しつつあるのが分かります。

David : Relationship Between Length of Stay and Dislocation Rate After
Total Hip Arthroplasty The Jounal of Arthroplasty Vol.18 2003
グラフの中で示されているのは脱臼率です。数こそ少ないのですが、この短期入院の導入により脱臼率は5倍以上に膨れ上がっています。

人工股関節術後患者さん850人(平均年齢62.1歳)を対象に、2人の整形外科医が同一方法で同じインプラントを使用しています。結果からは24人に脱臼が生じ、入院中5名、他院後に19名。

入院日数の短縮化に合わせ浮き彫りになっていたのは、脱臼率。手術をし入れた人工関節が何らかの要因で外れてしまっています。一旦外れた人工関節は自分では元に戻すことはできません。専門医の力が必要です。これには手術の技術的な問題もあるのでしょうが、別の問題も指摘しています。
それは「患者教育」の欠如。ご本人はもちろんご家族に対する人工関節への正しい知識が植え付けられないまま、退院を迫られています。

医療費削減を優先した政策に人工股関節に対する十分な指導、リスク管理が行われておらず、新たなトラブルが併発するといった事態に警鐘を鳴らしています。
ginzaplus 佐藤正裕(理学療法士)



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