関節リウマチ(RA)とは、関節の滑膜炎を主体とした全身性自己免疫疾患です。 自己免疫疾患とは、免疫に異常が起こり、自分自身の正常な細胞や組織を異物とみなして攻撃し、排除しようとすることで起こる病気です。 リウマチ症状が股関節にまで及ぶと、軟骨のすり減りや骨の変形が助長され、痛みが生じ、歩行機能や日常生活動作に影響たらすことがあります。 男性よりも女性に好発する病気で、男女比は1:3と女性に起こりやすい特徴があります。
現在の医療では、主として薬物療法や運動療法を主体とした保存療法と手術療法が行われます。 これらの治療方法は、それぞれ病気の進行に応じて選択され、個々の症状に応じ決定されます。
不治の病として恐れられてきた関節リウマチも、新薬の開発により飛躍的な進歩を遂げています。 また同時に、薬物療法と併用し、運動療法を実施する事で、リウマチ特有な病態、関節のこわばりや痛みに伴う2次的な合併症、関節拘縮の予防を図ることが大切です。 関節リウマチも、腫れや痛みが強い炎症期と、関節の炎症や痛みがおさまってくる慢性期があります。 安静にすべき時期と運動に励む時期のバランスが重要であり、保存療法における目的と対応の仕方が異なります。 特に炎症期では、可能な限り炎症症状を薬物療法により取り除き、関節への負担を極力避けます。 但し、動かさないでいると、リウマチによる炎症がおさまっても、関節が硬くなり、筋力低下が生じます。 炎症症状さえ落ち着けば、日常動作から必要な筋力を発揮できるよう生活指導を積極的に行っていきます。 手指にまで腫脹や変形が及ぶと、杖使用も困難になります。 膝や股関節の可動域の確保と併せ、筋力低下を予防することが、その後のQOL(=生活の質)の向上にも繋がります。
保存療法では期待とするような効果が得られず、症状が進行し、痛みがとれない場合には、手術療法が勧められます。 代表的な手術に、人工股関節置換術があります。 これは変形した関節部分の骨を切り取り、人工関節を固定して、関節が動くようにしようというのが目的です。 大腿骨頭壊死の場合と同じように部分的に入れ換える方法と、全部を人工関節に置き換える方法があります。 メリットとしては、早くから痛みが改善し、歩きやすくなる場合が多いということです。 最近は、材質に軽く耐久性に優れた素材が使用されるなど、15〜20年位はもつといわれます。 しかしながらリウマチという疾病の影響から術前の筋萎縮や廃用性の筋力低下が著しいため、片側を人工関節にすると、反対側の股関節あるいは膝にまで影響が加わり、複数回の手術を繰り返すこともあります。