股関節痛の先進の「保存施術」 ginzaplus (銀座プラス)

[研究論文] 変形性股関節症への手術と保存療法

更新 2013年05月08日(水)
カテゴリ股関節の保存施術
ハッシュタグ #変形性股関節症 #保存施術 #股関節の手術 #FAI #股関節唇損傷 #臼蓋形成不全(寛骨臼形成不全)

全国的にも有名なある整形外科病院のお話です。そこでの手術件数は全体の僅か5%。それを支えるのは独自の診療システムにあります。痛みを抱え患者さんがお越しになられると、本来ならば医師が診断し、薬物療法、筋力トレーニング等なの基本的な指導をしますが、ここでは医師の診察後は全て、リハビリ専門職の理学療法士へ依頼します。

はじめの理学療法士が介入し効果が無ければ、次に、その上のベテラン理学療法士が担当し、それでも尚改善されなければ再び医師が入り新たな手段を検討する。非常にユニークな取り組みですね。こうした診療体制により手術件数を低く抑えられています。痛みの真相を捉えた世のニーズに適った医療とも呼べるでしょう。

世界は次のように取り上げています。
"Clinical Outcomes Analysis of Conservative and Surgical Treatment
of Patients With Clinical Indications of Prearthritic Intra-articular Hip Disorders"

▲American Academy of Physical Medicine and Rehabilitation 2012

アメリカのある大学病院に所属する整形外科医は、臨床上の股関節内の問題を保存療法、もしくは外科療法を用いその効果を比較検討しています

目的：
To describe outcomes of the conservative treatment of patients who had the
clinical presentation of a prearthritic, intra-articular hip disorder, including
acetabular labral tears, developmental hip dysplasia, and femoroacetabular
impingement.

関節唇損傷、臼蓋形成不全、インピンジメントなどの関節内トラブルが確認された場合の保存療法の効果を検証。

結果：
Fifty-eight patients (9 men and 49 women) with a mean age of 35 ± 11 years
(range, 18-50 years) enrolled in the study. Fifty-two subjects completed the study.
Twenty-three subjects (44%) reported satisfaction with conservative care.
Twenty-nine subjects (56%) chose to have surgery. Both groups demonstrated
equally significant improvement.

研究に参加した58人(男性9人、女性49人)の患者さん。平均年齢35歳。そのうち52人から回答が得られ、23人(44%)が保存療法に満足。残り29人(56%)は保存療法では満足できず手術の選択。

結論：
These data suggest that a trial of conservative management for persons with
prearthritic, intra-articular hip disorders should be considered before engaging
in surgical intervention.

関節内の異常があっても外科療法を介入する前に保存療法を実践考慮すべき、との考えを提唱。ご覧のように股関節の痛みも、2人にひとりが保存療法で救われる時代なのです。

ginzaplus　佐藤正裕(理学療法士)

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