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[股関節唇損傷] 30代 バレエダンサーの痛みを考える

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[股関節唇損傷] 30代 バレエダンサーの痛みを考える

股関節唇損傷手術後の経過

昨夜ちょうどこのブログ記事を書いている頃、股関節鏡手術後の方たちがおみえになりました。メスを握ったのは同じ先生、患者さんはおふたりとも杖を使用されています。担当医師は定期検診の際に「どうして人工にしないの」と投げかけるそうです。何ともやるせない気持ちにさせられます。

これまで私もこの病態の実態を掴もうと各種研修会や学会にも参加してきましたが、未だ明確な答えは出ていないように思われます。また発展途上の段階です。どういった症状に外科的治療が有効であるのか。

股関節の怪我?

実際に保存的な介入をおこなってくると、医学的な股関節唇損傷もその痛みは怪我の一部であると理解できます。ほとんどのケースで数回の施術で終了します。長期に渡って時間を要するのは、診察時における精神的な影響が非常に強い例です。股関節の痛みではありますが、精神的な痛みに苦しんでいらっしゃいます。


改めて股関節唇(Labrum)への理解を深めておきましょう。下の図のように、関節を縁取りするように取り巻くのが股関節唇です。軟骨のように柔らかい組織です。

損傷のメカニズム

例えば、日本人に多い臼蓋形成不全では骨の足りない部分を関節唇が補うため、どうしても股関節を使い過ぎてしまう「アスリート」では、関節唇への負担が避けられません。最近では生活習慣や職業、また加齢による影響も示唆され、特別な誘因がなくても股関節唇損傷の診断が下されるのも決して珍しいことではありません。

下図は2014年に報告された欧米人を対象とした股関節唇損傷手術後の成績を述べた最新の報告です。

手術成績

▲The Management of Labral Tears and Femoroacetabular Impingement of the Hip in the Young, Active Patient. 2014
手術成績は93%、92%、78%、67%、 68%、90%、 90%、84%と概ね順調ではあっても、やはり何割かは人工関節の選択を余儀なくされているようです。

症例検討

実際の症状をご紹介させていただきます。ご相談いただいたのは30代の男性、バレエ教室で講師をされています。医療機関ではFAIを疑われ、専門医のもと「股関節唇損傷」との確定診断を受けています。担当医は手術を勧めていますが、保存施術での効果を確認したいとのことでご相談にみえました。
当初問題となっていたのは、股関節の外旋/外転運動です。施術を繰り返すこと3ヶ月後には初回時よりも改善されています。痛みもありません。

「お蔭様で完全復活というところまでくることができました。ありがとうございました。先生のところと同時に週に1度○○院でみていただきながら、トレーニングも毎日続け、筋肉もだいぶしっかりし、思うように身体を動かすことができるようになってきました」とのコメントをいただいております。

まだまだ本調子ではありませんが、当初の痛みが改善されたことは大きな進歩です。あとは、診断を受けてから安静にし過ぎた影響から筋萎縮が顕著です。バレエダンサーとして再起を誓うには今後の積極的な筋力強化が必至です。
ginzaplus 佐藤正裕(ginzaplus)



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