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[股関節唇損傷疑い] 保存療法の可能性

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[股関節唇損傷疑い] 保存療法の可能性

更新 2013年12月11日(水)
カテゴリ 股関節の保存施術
ハッシュタグ #股関節唇損傷  #学会  #合併症・後遺症  #関節鏡・内視鏡  #FAI 
変形性股関節症の原因も骨格の問題やホルモンの影響、男女における筋力の差、遺伝的要因など、様々ささやかれてきましたが、ここにきて新たに「股関節唇損傷(こかんせつしんそんしょう)」が脚光を浴びることで、我々理学療法士にも変形性股関節症の予防に携われるチャンスが巡ってきたようにも思われます。私もこの数年、股関節唇損傷との診断を受けた患者さんたちを数多く拝見させていただき、その症状と経過、保存療法の効果、また術後の注意点など、このブログの中でもまとめてきました。

先日の学会でも、まだ数こそ少ないですが、理学療法士たちが中心となり変形性股関節症の前駆症状でもある、股関節唇損傷に注目し、予防に向けた取り組みが報告されていました。「Femoroacetabular impingementに対する理学療法を中心とした保存療法の効果」

いよいよ理学療法士も変股症の予防の表舞台で活躍できる時代の到来でしょうか。ただご存知のように、通常の病院勤務の理学療法士は、医師の指示やリハビリ処方が無ければ働けません。まずは理解ある医師の獲得、協力が必要不可欠です。その上で、個々の理学療法士も現状に疑問を感じ、問題意識を持ち、直属の上司、専門医の理解を得られるよう努力を積めば、おそらく近い将来医療機関単位でも、患者さんが待ち望むような治療環境が整うことも期待されます。

さて今、急増しているのが股関節唇損傷”疑い”との診断名。股関節唇損傷の概念の広がりと伴に急増しています。症状自体は軽度な股関節周囲の痛み、股関節を動かす際の引っかかり感や違和感がある程度で、レントゲン上も明らかに変形を呈するような状態ではなく、比較的動ける、歩ける、日常動作もこなせるレベル。ただ、鑑別診断の装置や技術がないと、意図も簡単に、上記診断名を付けられることが多いようです。

焦って手術に向かう方もいらっしゃる方もあれば、情報をかき集め、保存療法でじっくり向き合う方もいらっしゃいます。股関節唇損傷の治療のエキスパートを主治医にもつ方たちを、全国から何名も担当させていただきましたが、各医師らが判断する要手術も、数回のセラピーで改善されることがほとんです。学会でも論じられていたように専門医の間でも股関節唇損傷の病態や、診断、治療についてはまだ不明な点が多く、どの程度を股関節唇損傷と判断するのか??臼蓋形成不全がある場合の唇損傷も治療対象か??屋根の被りの程度(CE角)によっては治療方針を変えるべきか??など、統一された見解が得られにくいのが現状です。

たとえ、手術の宣告があっても、いきなり手術には踏み切らず、ぜひ専門の知識ある指導者のもとで保存療法、リハビリに取り組んでみるのも一つの手でしょう。前回のブログでも触れましたように、唇損傷自体、それ程珍しくないことが分かった今、本当に身体にメスを入れる必要があるのかどうか、時間をかけ検討すべきです。

手術後の方も多数拝見してきましたが、順調に回復しているとはいっても、左右差があったり、かばうような癖が抜けなかったり、術後の合併症に悩まされている方たちが後を絶ちません。手術に対する過度な期待、医師に対する不信、復職できない将来への不安、精神的な影響も改善を阻む要因のひとつでしょう。術前とは異なる箇所に痛みが生まれ、杖が手放せない、放すと跛行が目立つなど、人工関節を余儀なくされる方まで。良い面だけでなく、リスクの確認も忘れずに行っておきたいですね。

タイトルの股関節唇損傷疑い。保存療法の対象疾患です。まずは焦らず、情報をかき集め、未手術を前提に治療を勧めてみてください。またできるだけ専門の、医師や理学療法士に直接かかることをお勧めします。
ginzaplus 佐藤正裕(理学療法士)



更新 2013年12月11日(水)
カテゴリ 股関節の保存施術
ハッシュタグ #股関節唇損傷  #学会  #合併症・後遺症  #関節鏡・内視鏡  #FAI 

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