ブログ

股関節唇損傷 関節鏡視下術の長期成績と課題

ブログ検索#関節鏡・内視鏡

股関節唇損傷 関節鏡視下術の長期成績と課題

股関節唇損傷の概念が急速に広がり始める一方で、
その実態について、
未だその現状が患者さんには伝わっていないことが、
多くあるように感じます。
特に手術後の様子です。
ここでは役割柄、
主に医療機関では、症状が解決されない方に
全国からご相談をいただきます。
今日は、股関節唇損傷手術後の「長期成績」について、
それと、関連してこの場で私が感じる「課題」について、
最近の研究論文や報告を交え、考えてみたいと思います。
まず、股関節鏡視下手術後の「長期成績」についてです。
人工関節や骨切りの術後であれば、
術後10年、20年後の方たちを担当させていただく機会はあっても、
股関節唇損傷の手術後ともなると、
最長で6年、最も多くて2、3年です。
国内で発信される研究データを集めてみても、
やはり術後2~3年の報告が多く、
術後5年以上となると極端に少なくなります。
また対象人数も、海外のものと比べれば極めて少なく、
日本でもまだ新しい分野の手術、
発展途上である様子がうかがえます。
少し範囲を広げて、
アジア圏内に目を向けますと、
ここでも同様にやはり10年以上を報告した例は少なく、
先日、日本で参加させていただいた勉強会でも、
10年以上を報告したのは一件のみでした。
一方で、
アジア人よりも股関節唇損傷患者さんが多い欧米諸国では、
既に上記のように、
20年以上もの術後良好例が多く報告されます。
その背景には、
股関節唇損傷そのものの概念の歴史、
アジア人とは異なる受傷起点、骨の構造上の問題など
民族間を超えたいくつかの因子が、
術後長期成績を支えているようにも思えます。
日本でも今、
どういった症例に関節鏡視下術が適しているのか、
専門の先生方を中心に議論が繰り広げられています。
これまでの私の感触としては、
臼蓋形成不全を抱えた方にみられる股関節唇損傷関連の痛みには、
要注意です。
要注意というのは、
手術をして良くなることもあれば、悪化することもある。
またわざわざ手術をしなくても良くなることが実に多い、
ということです。
アメリカではもう既に、
臼蓋形成不全に合併した股関節唇関連の痛みには、
関節鏡視下術は適応すべきではない、
との勧告がなされていますが、
日本でも改めてその適応が見直されています。
2010年の「スポーツメディスン」という雑誌の中にも、
下記のように触れられているように、
参照)アスリートの股関節痛と最新の関節鏡視下術:産業医科大学.
スポーツメディスン 22(2): 4-9, 2010.
臼蓋形成不全が基盤にある股関節唇損傷への手術は、
不適応です。
臼蓋形成不全があると、
どうしても股関節唇へのストレスが避けられないことがあり、
しかし全例が手術対象となるのではなく、
どんなに堪え難い痛みであっても、
実際にその場で治療介入を経て、
すぐに解消されるような痛みであれば手術は必要ない、
と私は考えています。
趣味活動のスポーツや日常生活から
"偶発的に"生じてしまった股関節唇損傷関連の痛み。
こうした痛みを、股関節の"怪我"と、
皆さんには痛みの発生メカニズムを説明しています。
2014年に報告された、
中国からの論文でも、
臼蓋形成不全を伴う股関節唇損傷には、
アジア人独特の生活様式による、
股関節の動きの制限が痛み、唇損傷との関連を指摘しています。
臼蓋形成不全に合併した股関節唇損傷の特殊性が
ここでも説明されます。
さて、もうひとつ最近の傾向として気がかりな点は、
昨年から70歳以上の方たちが次々に、
「病院で股関節唇損傷を疑われ、
内視鏡による手術を勧められている」、
といってご相談に訪れます。
関節軟骨や股関節唇もそうですが、
年齢を重ねることで、
少しずつすり減っていくことが起こります。
年齢相応の変化です。
しかしこれらも手術適応か。
対象となる方の生活背景や
今後の活動レベルなどを尊重すれば、
敢えてメスを入れない方が、
スムーズに改善できる場合も多いでしょう。
現時点までの日本における股関節鏡による術後成績、
適応症例を振り返ってみても、
やはり70代以降への適応は、
リスクが高過ぎるように思えてしまいます。
股関節唇損傷の手術も、
その概念がいっきに知れ渡るようになり、
様々な症状を対象に手術を行ってきた結果、
術後の回復具合を診れば、
人工関節とはまた違った回復曲線をみせますし、
自骨の骨切り術とも異なる独特な経過を辿るのが、
理解できるでしょう。
身体への侵襲が少ない、というイメージが先行しがちですが、
術直後の様子は多様であり、
見通しがつきにくく、リハビリ期間も長い。
スポーツ復帰、社会復帰を見据えた上でも、
将来を読みづらく、
手術としては勧めづらい、というのが私の率直な印象です。
それでも、
現在も尚、継続的に術後の方たちに関わらせていただいている以上、
今携わっている方たちには、
痛みのマネージメントの方法を理解していただき、
これまでの術後成績を塗り替える気持ちで、
自分らしい人生を前向きに歩んでいただきたいですね。
そして、機会があればぜひ担当医師へも
ご報告していただきたですね。
私が担当させていただくほとんどの方は、
執刀医師の定期検診にかからなくなります。
そのお気持ちも十分に理解できます。
ただ何が起こって、どう対処し改善していったのか、
その経過を当の執刀医が知らなければ、
この治療の日本での発展にも繋がらないでしょう。
皆さんの率直な感想こそが、
我々の心を動かすのでしょう。
術後歩けない、痛みから社会復帰できない方が増えています。
その決断には慎重に、そして、少しでも不安があれば、
メスを入れる前に全てをクリアーにしておきましょう。
どんなご相談でもお受け致します。
症状に合わせ、
ご希望があれば、専門医もご紹介させていただきます。
また定期的に、
股関節痛に悩む方を対象に勉強会も開催しております。
未手術を望む方、
手術後でも再発予防にぜひご活用下さい。
reference)
◆各地出張セラピー日程
大 阪:2014年7月23日(水)~26日(土)
名古屋:2014年7月 9日(水)~11日(金)
仙 台:未定
◆早朝枠
朝9時~の早朝枠をご用意しました。
お電話にてご相談下さい。
◆インソール
姿勢、歩きの改善にインソールもご活用下さい。
オーダーメイド              12000円
スニーカー、フラットシューズ、ハイヒール用 5000円
◆ポケットフィジオ
股関節まわりの筋肉のコリをほぐすのに有効なマッサージ道具。
人肌に近い素材の為床に置いても滑りにくく持ち運びにも最適です。
テニスボールでは満足できなかった方にはお勧めです。2100円
◆予約状況
毎月1日に翌月のご予約状況が確認いただけます。
8月1日に9月の予約表をアップします。
◆勉強会のお知らせ(朝日カルチャーセンター主催)
股関節痛を抱えた方を対象に勉強会を開催しております。
関東・湘南教室 http://www.asahiculture.com/shonan/ :8月、9月、10月
関西・中之島教室 http://www.asahiculture.com/nakanoshima/ :9月
九州・福岡教室 :未定
股関節痛への理解を深め、その解消を目指しましょう。
一生自分の脚で歩くために!



最新記事






▼「ブログ」その他のコンテンツ
全カテゴリ 股関節の保存施術 施術事例 お知らせ メデイア プライベート
Copyright © 2004-2024 ginzaplus | 当サイトの全コンテンツは著作権法、関連条約・法律で保護されており、無断での複製・転載・転用を固く禁じます。| 利用規約 | 個人情報保護方針
Web System & Design by R-Crafz