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[診療ガイドライン] 日本と海外の違い

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[診療ガイドライン] 日本と海外の違い

更新 2014年02月26日(水)
カテゴリ 股関節の保存施術
ハッシュタグ #変形性股関節症  #学会  #保存施術  #股関節の手術  #骨切り  #関節鏡・内視鏡 
2008年、日本ではある一冊の本が出版されました。「変形性股関節症 診療ガイドライン」いわば変形性股関節症を専門に診る医療従事者向けの教科書です。股関節痛の発生由来、変形性股関節症の病態、診断、各種治療方法が紹介されています。臨床の場でも大いに役立てられているようです。
この本の原本はというと、欧米の各専門家(プライマリ医師、リウマチ専門医、整形外科医、EBM研究者)により構成された、関節症の予防と治療に関する研究・教育、情報発信に特化した国際的学会組織に由来します。股関節症の管理に関する最新情報は、この組織から発信されます。日本でも国際基準を見習い、独自の診療ガイドラインの作成に努めてきたわけですが、両者を見比べてみるといくつか気になる点が存在します。
▲Osteoarthritis Research Society International http://www.oarsi.org/
例えば、上の表には、変形性股関節症への治療法として、推奨度が高い約40以上もの治療法が紹介されます。全て英語で表記されていますが、ご覧いただきますとお分かりのように、その多くは「保存療法」です。しかも、理学療法士の専門でもある「運動療法」に注目が置かれています。しかし、日本のガイドラインでは、一部の保存療法は日本の診療実態に適合しないとの判断で、採択されていません。したがって、専門家向けの教科書にも掲載されていないのです。事実、下記に日本版ガイドラインの目次を抜粋してみましたが、上の表と見比べても、極限られた数の保存療法しか紹介されていないのが分かります。
▲変形性股関節症診療ガイドライン
特別目新しい情報も無ければ、進展もありません。医師から保存療法が勧められる機会が少ないのも頷ける結果です。病院では手術以外の方法が十分に提供されず、
手術を望まない方たちは、民間療法に流れるようになるようです。鍼治療やマッサージ、あるいは靴の中敷(インソール)なども、実は国際基準に従えば、症状の改善に効果があると承認されているのです。痛みの治療においては医療機関よりもむしろ民間医療の方が、ある意味"進んでいる"のかも知れません。では、日本で盛んに行われる手術はどうかといえば、上記表に従えば、関節鏡と骨切り術は紹介されますが、運動療法や日本では認可されない薬物治療に比べれば、様々な影響から推奨度も低く設定されています。

世界は今、変形性股関節症の予防に向け保存療法に注目し、従来の治療方法をいま一度レビューし、本当に安全で効果があるものを体系的にまとめ、発信しています。しかしながら日本では、あまりにも医療保険が尊重され過ぎるあまり、多くは反映されず、その結果、手術一辺倒への治療と、すり替わってしまったようにも思われます。しかし、これでは一番困るのは患者さんたちでしょう。手術手術といわれ、本当に知りたい情報や治療方法の選択すら教えられないまま、ただただ悪くなるのを待つだけの日々。本当はもっと多くの方たちが、保存療法で救われるはずです。ただ色々な事情により、その治療の選択肢すら提供されない。これは寂しいことです。

変形性股関節症に対する保存療法。そんな時代は実はもう、すぐそこまで来ているんです。
ginzaplus 佐藤正裕(理学療法士)



更新 2014年02月26日(水)
カテゴリ 股関節の保存施術
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