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[研究論文] 股関節唇損傷 内視鏡手術後の実際

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[研究論文] 股関節唇損傷 内視鏡手術後の実際

股関節唇損傷の手術は、人工関節とは違いどこでも簡単に受けれる手術ではありません。日本でもまだ新しい手術方法ですから、手術ができる専門医、受けられる医療機関は限られています。先日、関東でも有数の手術件数を誇る医療機関に所属する理学療法士と手術後の患者さんの治療的介入を交えながら、お互いの立場から、意見交換をすることができました。直接医療現場での声が聞け参考になりましたが、改めてその後の経過に問題を抱える手術であることも再確認できました。

内視鏡手術の情報を集めらられている方はもう既に御存知かも知れませんが、専門家での間で話題となっているのは「長期成績」の問題です。実際にこちらで拝見していても、手術直後から痛みが増強する方もいらっしゃれば、術直後は問題が無くても、数年後のうちに同様の症状が反対側、もしくは、同側に見舞われるケースが増えています。

最新の研究報告でも同じような傾向が確認され、手術後の痛みの継続は、軟骨の損傷程度にも影響を受けるようです。

大島ら:股関節疾患に対する関節鏡視下手術の経験 2012

特に研究者らが危惧しているのは「臼蓋形成不全」に対する適応です。早めに治しておけば人工関節は免れるとの説明を受け、手術に望まれる方がいらっしゃいますが、関節鏡の本場アメリカでは、臼蓋形成不全へは適応外とする意見が多いようです。

また「レントゲン上確認できるような臼蓋形成不全、軟骨の隙間が狭くなっている場合には、関節唇損傷の内視鏡は長期成績は不良である」との報告もあります。
Byrd,J.W.:Hip arthroscopy for labral pathology 2009

今、日本でも盛んに関節唇損傷を勧められ、専門医を紹介さる流れがあるようですが、実際の現場でもこのような報告を通じても、その後の成果については、未だ不透明な段階であり、手術の決断にあたっては十分な情報収集、慎重な対応が大切です。

ginzaplus 佐藤正裕(理学療法士)



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