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[臼蓋形成不全] 変形性股関節症への割合

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[臼蓋形成不全] 変形性股関節症への割合

更新 2014年07月16日(水)
カテゴリ 股関節の保存施術
ハッシュタグ #臼蓋形成不全(寛骨臼形成不全)  #変形性股関節症  #学会  #研究論文 

臼蓋形成不全の現状

臼蓋形成不全は、本当に、変形性股関節症へと進行してしまうのでしょうか。

診察室で突如聞かされる臼蓋形成不全の存在に驚かれた方も多いことでしょう。専門の先生方の中には、初診で手術を宣告したり、将来的に歩けなくなる、などとの表現も聞かれそうですが、正しい知識さえあれば決して怖がり過ぎることもないでしょう。私も様々な角度から臼蓋形成不全と痛みとの関係を検証してきました。臼蓋形成不全も早目にその存在に気が付ければ、ある意味ラッキーです。これからの生活で人生も変わるでしょう。痛みが生じるまでの経過や生活を振り返りながら、今まで以上に日常生活動作を丁寧に実践することを心掛けましょう。

たとえ、骨の形態異常があったとしても、痛みの改善、運動機能の回復は期待できます。ただ残念ながら日本の専門家向けの股関節治療の教科書、
診療ガイドラインの中には、臼蓋形成不全があるというだけで「変形性股関節症」との診断が下ることが多くあります。臼蓋形成不全=悪化との前提があるので、アドバイスを求める病院や先生によっては、マイナス要因を植え付けられてしまいます。人生を左右させられるといっても過言ではないでしょう。ですので、患者側である我々も、ある程度は質の良い情報を集め診察を受けるべきです。

こうした現状からも世界の研究報告が参考になります。各民族間における臼蓋形成不全と変形性股関節症との関係をみてみましょう。

イギリス人の方が発症率が高い?

日本の和歌山大学の先生方の研究では、1498人のイギリス人と日本人、60~79歳の男女の骨盤形態を比較検討し、日本人がイギリス人に比べ臼蓋の屋根が浅く、軟骨の隙間が狭い特徴がります。ただ、変形性股関節症の発症率は日本人よりもイギリス人の方が高いとの研究結果です。

変形性股関節症には移行しない?

こちらは滋賀大学の先生方が発表されています。1183人の日本人とフランス人、20~70代の男女の臼蓋形成不全の保有率と変形性股関節症との関係を調査した結果では、従来の報告と同様に、骨盤の形態や屋根の浅さはフランス人よりも日本人、男性よりも女性に多い特徴的が報告されています。また、変形性股関節症への発生リスクについては否定的な見解です。

アメリカ人でも発症しない?

こちらはアメリカから報告です。65歳以上、165例をの白人女性を対象とした臼蓋形成不全と変形性股関節症との関連についての調査もこれまで同様、臼蓋形成不全は変形性股関節症の発症要因に影響はないと述べられています。

アフリカ人を対象とし調査

上記はアフリカのナイジェリア人、60~75歳、63人の男性を対象とした臼蓋形成不全の保有率と変形性股関節症の発症率を調査した報告ですが、こちらもやはりその関係性を否定しています。

アジア人に対する研究結果

最後に香港からの報告です。中国人男性とイギリス人男性の臼蓋形成不全者の数と変形性股関節症患者さんを調査した報告です。アジア系であっても、香港系の中国人には臼蓋形成不全保有者は少なく、また臼蓋形成不全と変形性股関節症との関係へも反論を示しています。

ginzaplus 佐藤正裕(理学療法士)



更新 2014年07月16日(水)
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