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[人工股関節] 片側だけを手術することのリスク

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[人工股関節] 片側だけを手術することのリスク

更新 2023年08月05日(土)
カテゴリ 股関節の保存施術
ハッシュタグ #変形性股関節症  #合併症・後遺症  #人工関節  #股関節の手術  #脚長差 

手術を受けたがらない理由

皆さんの経過や感想をお聞きしながら、いつも勉強させていただいております。

人工関節を受けたくないとの理由をお聞きすると、ご友人やご近所の方の経過があまり良くないことを頻繁に耳にします。ただ、私はいつも「必ずしもそうではないですよ」、とお答えしています。手術後の感じ方も人それぞれでしょうし、痛みを取り除くだけに関していえば、研究論文でも多数報告されるように、人工股関節による手術は、痛み治療においては最も効果が高い外科治療であるといえます。

では実際に、片側を手術したら、もう片側は必要ないか、といわれれば、ここは改めて考えてみる必要がありそうです。そんなこと知らなかった、がないよう事実から検証してみたいと思います。

50代女性の手術経験(片側のみ)

先日ご相談にみえた方は、7年前に片側人工股関節の手術をされ、痛みもなくなり順調に過ごされていたものの、最近になって、反対側の股関節の不調を訴えお越しになられました。

手術後も定期的に真面目に医療機関で受け、その都度レントゲン画像も保存され、セカンドオピニオンが目的です。

どちらかの股関節が特別に痛い、ということではないのですが「歩きづらくなった」と仰っています。

さっそく、股関節の動きをチェックすると、問題ありません。健常者並みに動いています。ただ、歩きを拝見すると、わずかな脚長差のために跛行を呈しています。うまくバランスがとれない様子で、一部の筋肉がごっそりなくなっています。そのため、歩行速度もゆっくりです。

レントゲン画像から予測できること

改めて画像を拝見してみることにしました。

そうすると、手術した側にはしっかりと人工股関節がおさまっており、問題はないのですが、反対側の股関節は少しずつ形を変えています。だからといって、すぐに手術が必要なレベルではありませんが、こうした変化(骨嚢胞、骨髄浮腫など)が訪れると、数年後には新たな手術を迫られる可能性もあります。

近年、両側同時の手術が増えたのも、こうした理由がが背景に考えられそうです。また、一回に両方を手術したほうが、費用も少なく済みます。ただ、海外での文献でも触れられているように、入れ替え作業とその後の“持ち”に関しては、初回時よりも大きな負担を強いられることがあるようです。

今後期待できることは?

大事なことは、変形性股関節症について深く勉強されている方はご存知と思いますが、「どんなに骨が悪くたって筋力さえあれば、何とかなります」。施術事例でもご紹介のように、進行期や末期の方でも、階段の昇り降りができ、小走りができ、ダンスや趣味活動に没頭できるような方もいらっしゃいます。共通するのは、筋力です。

コロナの自粛生活を経て、今度は灼熱の暑さが訪れ、生活環境が激変する中で、今一度、私たち自身の生活も見直す時期を迎えているのかも知れません。こちらの方へも、反対側への負担を招くような家事動作を少なくし、活動性を上げ、筋力強化を図っていくようお願いをしました。

加齢と手術による筋力低下を何とか食い止めなければなりません。

毎回、before/afterを編集させていただきながら思うのは、月単位、年単位で積み重ねた皆さんの「生活への意識」と「絶え間ない努力」です。手術を避けるためには、これしかありません。正しい「運動方法」と「量」を継続しながら、ときにハードルを上げチャレンジしつつも、不安から自信へと精神的にも生まれ変われるようサポートさせていただきます。

ginzaplus 佐藤正裕(理学療法士)



更新 2023年08月05日(土)
カテゴリ 股関節の保存施術
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