人間の身体とは不思議なもので、片側を手術すると今度は反対側に痛みを訴えるようになることがあります。
今か今かと待ち伏せしているかのように、運動量の増加に合わせ、顔を出すのです。
股関節とは、天秤のようにお互いのバランスを取り合いながら働く関節です。片側に不具合を訴えた時点で、もうすでに芽生えていたのでしょう。
両方バランスよく使えるようになって、ようやく完成ですね。手術前の歩き方を含め、もう一度、問題点を洗い出しておきましょう。
痛み治療の中でも外せないのは、皆さんの「脳の働き」です。
初期やいわゆる急性痛と呼ばれるように、痛みを抱えてすぐの状態であればほとんど問題はないのですが、変形性股関節症を診断され比較的歴史を長く抱えている方では、患部はもとより脳の機能にまで影響が及んでいることが多くあります。
一番分かりやすいのは、コミュニケーション場面です。症状への訴え、質問内容、アドバイスに対する反応など特徴が垣間見れます。
さて、こうしたかばうような動作も、皆さんの意図とは異なり脳の司令が強く働き、どうしても思うような動きに結び付けないことがあるはずです。
ご自身の状況を理解し、単純な動作でも正確に取り組むことで、少しずつ理想とする自分に近づけるはずです。
最近では両側同時の手術も増えています。一方で問題となっているのは、脚長差です。
単純にレントゲン画像からだけの情報を鵜呑みにせず、脚長差が生じている(と感じている)場合には、まずは、どこに問題があるのかを改めてチェックしてもらいましょう。
骨盤の歪みや傾きから生じているのか。それとも、本当に脚の長さが異なるのか。または、確かに長さは違うのだけれども、身体がそれに順応できていないのか。
2センチ程度の脚長差であれば、皆さんの身体の能力で何とかなります。ただし、本質的な問題点への取り組みが誤った方向(不要な中敷き・インソールなど)へと突き進んでしまうと、完成形からは遠のくかも知れません。
次回のブログでも、手術後の脚長差の問題について解説したいと思います。
ginzaplus 佐藤正裕(理学療法士)