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[股関節唇損傷] 臼蓋形成不全にはNG

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[股関節唇損傷] 臼蓋形成不全にはNG

日本でも、2010年以降、盛んに行われるようになった股関節唇損傷に対する関節鏡視下手術。小さな異変(=関節唇の損傷)にも、早期に気が付けば問題は深刻化しない、との"仮説"をもとに数多くの関節鏡による手術が行われてきたようです。結果、この数年で全国からご相談件数も瞬く間に急増しました。手術後を拝見して感じますのは、まずは、手術が必要か否かの判断を明確にすることです。最近では、外国で手術をされた方たちにもお会いします。多くは"関節のかたさ"のみを訴え、日本でみられるような、術前より悪化する痛み、杖の使用などはありません。もちろん私が拝見するのはごく一部でしょうが、どうして、これほどまでに術後成果に差が現れるのでしょうか。手術後のリハビリは長くても2日。理学療法士による指導はほとんどなく、手術の翌日、あるいは翌々日には松葉杖で退院します。

このブログでも、以前から股関節唇損傷への手術のリスクを発信してきましたが、やはり「臼蓋形成不全」へは注意をしなければなりません。外国での手術経験者に、日本人に多いとされる臼蓋形成不全は含まれていません。先日ある勉強会に参加してきました。股関節唇損傷に対する手術の適応、改めて見直されていましたので一部ご紹介致します。
お話しを伺ったのは、上記三名の先生方。関節鏡による手術の適応に関しては、最近の研究報告をもとにコメントがありましたように、臼蓋形成不全、もしくは、既に進行しかかった軟骨変性のある変形性股関節症へは関節鏡による手術は不適応。今後はおそらく、手術適応の範囲は制限され、新体操やバレリーナなど、股関節を必要以上に大きく動かすようなアスリートが中心となるのではないでしょうか。今回の勉強会でも、別の医師からもご指摘があったのように、話題の関節唇の損傷も痛みの"原因"と捉えるべきか、それとも"結果"と捉えるべきか、それによって介入方法、医療関係者の役割も異なってくるように思われます。

関節唇の損傷があるから痛いんだと、痛みの"原因"と捉えてしまうと、関節唇に何らかの治療を施さなければならなくなります。ところが、どうして関節唇が傷むようになったんだろう、とその根本に注目し"結果"として捉えはじめると、新たに「予防」という枠組みが広がるでしょう。実際ある先生のクリニックでは、昨年股関節唇損傷により保存療法が効果を示さず手術に至ったケースは、わずか5例と聞きます。私もこれが現実的な数値ではないかと思っています。
ginzaplus 佐藤正裕(理学療法士)



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