[研究論文] 変形性関節症の痛みについて:システマティックレビュー
変形性股関節症の専門家会議においては、
変形性関節症の痛みは解消される。但し、変形性関節症の発症原因は未だ解明されておらず。
こうしたスタンスで議論が進められています。
ですので、進行期や末期であっても痛みが解消されることはなんの不思議でもなく、むしろあり得ることであり、そこに疑問を持つことさえありません。ただし、変形性関節症がどのようなことがきっかけとなり、軟骨損傷や骨の変形を来し、関節破壊へと追いやられるのか、この点については現在もなお明確な答えが得られず研究段階です。一応、これまでにも、いくつかの説が取り上げられ、ginzaplusでも最新の研究結果に基づき施術を展開しておりますが、現時点における変形性股関節症という病気に対する画期的な治療法があるわけではありません。
今回はCochraneのデータベースが主体ではありますが、2022年に発表された最新の変形性関節症の痛みに対するシステマティックレビューのご紹介です。
果たして、皆さんは股関節症の痛みを、どのように解決しようとしていらっしゃいますか。
これまでにも多くの研究が重ねられ、最も有力とされるのは太字で示した分野です。つまりは、exercise「運動療法」に焦点が集まります。現在では、その方法についての研究が盛んに行われ「どういった方法で行うトレーニングがより効果的であるのか」、検証されています。
最近ではPRPや幹細胞などの再生医療の分野が台頭してきましたが、運動療法については、ガイドラインが発表されれから10年以上に渡って変形性関節症の国際学会(OARSI)、そして、アメリカリウマチ学会(ACR)、さらにヨーロッパリウマチ学会(EULAR)でも治療体系のコアとして推奨され続けています。
一方で、手術への関心は薄くこの資料の通りです。先人たちは手術を否定しているのではなく、随分前から手術以外の方法で痛みが解決されることを理解しているため、手術は全く別の手段として捉えています。
世界のスタンダードを知ることで、選択肢が広がり、救われる痛みもあるはずです。日本ではこうした価値ある情報も入りにくく、国際学会など最前線の場に出向かない限り、本来の立ち位置すら見失うことになるでしょう。
ginzaplus 佐藤正裕(理学療法士)