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[保存施術] 変形性股関節症治療の最前線

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[保存施術] 変形性股関節症治療の最前線

更新 2023年07月01日(土)
カテゴリ 股関節の保存施術
ハッシュタグ #変形性股関節症  #学会  #研究論文 

これまでの変形性関節症の治療

2000年くらいまでは、関節の変形があれば痛みがあると信じられており、また、それを正すことで痛みが消失するとも考えられ、そのための様々な外科治療が中心に行わてきました。

例えば、骨が変形していれば、骨を人工の物へ置き換える人工関節置換術。臼蓋形成不全などの屋根の被りが浅ければ、骨を付け足す骨切り手術。股関節唇が損傷していれば、それを補修する股関節鏡鏡下術など。

ところが最近になって痛み分野の研究は進み、痛みとは、単に関節の構造上の問題を治せば解決するものではなく、他にも痛みを生じさせる要因があることが明らかになりつつあります。

これからの変形性関節症の治療

その辺りの研究は、特に、変形性関節症においては海外が進んでおり、日本でも海外で作成される診療ガイドラインを参考に、日本独自の手法が提案されています。

こちらは、2019年に変形性関節症の国際会議(OARSI)の会場にて配布されていたパンフレットです。

変形性関節症とは、現在では珍しい病気ではなく、4人にひとりが罹患するとされ、2032年までに、3人にひとりの割合で変形性関節症になるであろう、と予測されています。海外では、変形性関節症に従事する医療者向けに、忘れ去られた慢性病として変形性関節症に対するケアの向上を掲げています。
変形性関節症とは、実は重大な病気であり、痛みを伴うばかりではなく、運動機能にまで影響を与え、生活の質をも脅かします。

変形性関節症は、急速に増加しつつあり、糖尿病や認知症に次いで第三の病になるといわれています。

しかも、患者さんの半数以上は、働き盛りの世代です。
問題だとされているのは、推奨された治療がほとんど実践されていないことです。

診療ガイドラインでは、患者教育、エクササイズ、体重管理などが推奨されていますが、実際のところ、こうした初期治療が十分に実践されてはいません。

重要なところを要約すると、

57%の患者さんがステロイド注射を受け,理学療法士の指導を受けられるのは、僅か29%。不適切な、人工関節置換術の実践にも注意を呼びかけています。その背景には、手術後の患者さんの36%が、なおも痛みに悩まされているという事実です。しかも、術前リハビリが実施されたのは、たったの20%、とのことです。
私たち変形性関節症の専門家は、最良の予防策を実践し、自己管理できることを徹底させる必要があることを提言しています。

そのためには、

変形性関節症の予防に向けての公共サービスの充実、また、関節を使い過ぎている人や不適切であまり意味のない治療を継続する患者さんに対して、費用対効果の高い治療の実践を呼びかけています。

今後の課題とは

海外は日本とは異なり、オブラートに包むことなく、事実をダイレクトに発信してきます。

世界の学術集会に参加すると、臨床ではどんなことが役に立ち、研究ではどんなことがすでにわかっているのかを理解できるようになります。自分の立ち位置を再認識できる絶好な環境です。各種専門家がこの視点に立ってそれぞれの役割を果たせば、変形性股関節症を取り巻く世界も様変わりすることでしょう。

ginzaplusは今後も、独自の視点から情報発信を心がけていきたいと思っております。

ginzaplus 佐藤正裕(理学療法士)



更新 2023年07月01日(土)
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