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[人工股関節のリスク] 健常者との歩き方の違い

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[人工股関節のリスク] 健常者との歩き方の違い

変形性股関節症との診断を受け人工股関節による手術を受けた場合、その後に待ち受けているのは「歩き方」の問題です。

最近では短期入院が主流となったため、歩き方までリハビリが及ばず退院を迫られることが多くあるようです。ただ、痛みを経験すると少なからず反対側の股関節にまで影響が訪れます。手術をした股関節のみならず、反対側の股関節の使い方までチェックしていく必要があるでしょう。

例えば、下の研究報告が参考になります。人工股関節手術後の患者さん20人、健常者20人。歩き方を比較検討しています。

大きな変化としては、まずは股関節の「可動域」があげられます。

人工関節術後の患者さんでは、健常者よりも股関節を曲げる運動と伸ばす運動が減少しています。小股歩行でシャキシャキ歩くイメージです。膝下のみで歩いているような歩容パターンですから、リハビリ的には、股の付け根から大きなスイングで歩けるようなパターンへと新たに運動学習する必要があります。
それに併せて筋力、出力が低下しているのがわかります。体重を乗せてから片脚立ちになる局面で力の発揮が足りません。理想を既に忘れてしまっているのでしょう。その結果が小刻みに歩く、歩数で稼ぐ歩きスタイルになっているのです。

術後、健常者のような歩き方に戻りにくい理由として、

"These deviations from the control group may be consequential to pain-avoidance
strategies adopted pre-operatively or to apprehensions associated with their new
prosthesis. Moreover…, as well as those of the non-operated hip joint, were also
affected."

術前からの痛みを避けるような身体の使い方、特には手術をしていない側の股関節の使い方に影響を受けている、と報告しています。

保存的に取り組む際も同じことではありますが、痛みがある側だけでなく、痛みがない方の股関節の使い方までケアする必要があります。反対側の使い方が全身の筋肉のアンバランスを引き起こすことで、股関節痛を引き起こしている場合もあるほどですから。

▲Mélanie : Lower limb biomechanics during gait do not return to normal following total hip arthroplasty.Gait & Posture Volume 32, Issue 2, June 2010, Pages 269-273
ginzaplus 佐藤正裕(理学療法士)



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