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[研究論文] 適切な治療の実践に向けて

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[研究論文] 適切な治療の実践に向けて

更新 2024年07月20日(土)
カテゴリ 股関節の保存施術
ハッシュタグ #研究論文  #股関節の手術  #合併症・後遺症  #人工関節  #骨切り 

AUCという考え方

最新の研究論文(2024年)からの報告です。

変形性股関節症の治療を正しく実践する上では、いわば、専門家の教科書ともいえる存在、診療ガイドラインに従うことが何よりも一番大切ですが、同じように、世界各国から発信される、最新の研究報告に目を通すことも必要でしょう。

今日ご紹介させていただくのは、ガイドラインにも似たような特徴をもつAppropriate Use Criteria(AUC)についてです。

日本では特に整形外科領域ではあまり馴染みがないかもしれませんが、アメリカでは股関節症の分野でも積極的に取り入れられようとしています。
AUCとは、安全な治療実践に向けた”見える化”された治療用のチャートのことで、優先順位が示され、患者さまへも情報提供がなされるべきとされています。

この中で興味深いのは、整形外科医の半数近くが手術を治療の第一優先に考えていないことです。日本とはだいぶ傾向が異なります。

やってよいこと、やってはまずいことの確認(患者教育)。生活動作の修正。歩行ツールの活用。注射、痛み止めの服用。そして理学療法士による指導。中でも注目したいのは、人工関節による手術、あるいは骨切り術(関節温存手術や固定術)などは、推奨しない医師の割合が非常に多いことです。

こうした試みが実践されているのも何よりも、手術によるリスクがこれまでにも数多く報告されているからです。余談ですが、海外では、整形外科領域だけではなく特に循環器領域で頻繁にAUCは活用され、不適切な薬物投与が顕著に削減されたと報告されています。

合併症・後遺症にも着目して

こちらは膝関節症に関する研究報告(2023年)ですが、この中身を読み込んでいくと、

"Data indicate that 16% of TKA patients and 10.5% of THA patients report unsatisfactory outcomes during 1-year post- operative follow-up"

人工関節手術後1年以内の不具合の確率は、膝では16%、股関節においては10.5%との報告がされています。

関節症関連では年々こうした手術によるリスクに関する報告が増えています。それを受けてか、診療ガイドラインや今回取り上げさせてAUCにおいても、改めて治療指針を見直そうとした動きが着実に広がっているのです。

本文中で何度も引用される "over-recommend(=過剰に勧めること)"、この表現。

股関節症の痛みとは、身体的な問題だけではなく心の要素が大きいからこそ、一生残る手術の影響については、慎重に検討すべきとした研究者らの意図もあるのでしょう。

ginzaplus 佐藤正裕(理学療法士)



更新 2024年07月20日(土)
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