当たり前のことではありますが、まずは、自分の股関節の状態を正確に把握する必要があります。
初期なのか、進行期なのか。
何をどのように取り組めばよいのか。未手術を希望する場合、目標は適切であるのか。あるいは、手術を検討すべき段階であるのか、どうか...。
誰にでも、どんな症状においても、未手術の可能性は残されていても、取り組むべき課題が誤っていたり、何より、ご自身で治そうとする意欲がなければ、手術に頼らざるを得なくなります。股関節の状態だけではなく、個々が抱えるソフトな面にも目を向けながら、総合的な評価が行われます。
もちろん、医療機関で下される診断名も参考になります。
情報交換する際には、同じ変形性股関節症でもお互いが「どのステージにいるのか」、この辺りを明確にできると、症状に合った適切なアドバイスが得られやすくなります。
骨はほぼ正常だけれども、痛みを訴える。こうした症状が、股関節唇損傷と診断されることが多くあります。
まだ変形性股関節症には至っていませんが、このタイミングで完全によくさせておかないと、ジリジリと変形性股関節症へと移行しやすくなる段階です。安心材料と併せちょっとしたリスクも潜んでいるため、慎重に進めていく必要があります。
気をつけたいとのは、ここにもあるように「安静」です。
股関節唇損傷は安静にすべきような症状ではなく、1ヶ月も安静を指示されてしまえば、こうしてメンタルの痛みを伴うようになってしまいます。身体的な痛みに精神的な痛みが加われば、改善にも時間を要します。
ここでの経験からも、本来、股関節唇損傷はすぐにでもよくなる症状ですので、痛みをこじらせないうちに、速やかに改善を図っていただきたいと思います。
問題となってくるのは、こういったケースです。
変形性股関節症へと突入し、目標レベルが高い場合です。リハビリにスムーズに乗れれば問題は少ないですが、万が一、運動恐怖症など動くことへの抵抗が強くなったり、逆に、運動量をコントロールできなくなれば、手術も検討すべきか段階です。まずは、正確な情報把握のためにも、画像所見を手元に取り寄せ、手術以外の方法で積極的に痛みをとってもらえる専門家のもとを訪ねることが優先されます。
文章の中では「骨嚢胞」との表現があるように、骨嚢胞が存在すれば、多くの医療機関でも手術を勧められることが多いでしょう。しかしながら、未手術の可能性がゼロではありません。解決のためには、骨嚢胞がどの位置に存在するのかを確認しておきましょう。それによって予後も大きく異なるからです。
このステージで最も大切なことは、リスク管理です。
初期のときよりも一気に拍車がかかります。ちょっとした誤った操作一つで、関節症の進行を果たします。痛み治療に専念し過ぎるあまり、関節が動かなくなり、脚長差や跛行を生じさせれば本末転倒、将来的な手術も予期させます。ginzaplusでは、正確な情報提供とできることとできないことを明確にし、各治療法のメリットとデメリットを把握し承諾していただいた中で、ベストなパフォーマンスを目指していきます。
変形性股関節症の進行期や末期であっても、どう仕上げるのか。全ては、このタイミングにかかっています。
変形性股関節症も大きくは、このように初期と進行期や末期では将来に見据える姿がまるで異なります。
初期では、速やかに健常者と同じような運動機能の獲得を目指しましょう。
進行期や末期では、股関節の機能にも差が生まれることから、歩行補助具などにも配慮しながら、それでも健常者並みの運動機能の獲得を目指してみましょう。年単位と時間はかかるかも知れませんが、意外と走れるようになる方までいらっしゃっています。
詳しくは、現状把握と目標設定に委ねられます。ここで足並みを揃えられるか、どうか。あとは、ご本人のソフト面、精神的な受入状況によって大きく治療方針も変わってくるものと思われます。
ginzaplus 佐藤正裕(理学療法士)