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保存療法の常識を正しく理解しましょう

保存療法の常識を正しく理解しましょう

保存療法は、判断を誤ると十分な効果を得られない場合や、逆効果となる危険性もあるため、十分な注意が必要です。必ず専門家に相談の上、ご自身の症状にあった保存療法を取り入れるようにして下さい。

病院で「かばいなさい」「杖を使いなさい」と言われた場合の注意点

「かばいなさい」「杖をつきなさい」、頻繁に診察室から聞こえてくる専門家のアドバイスにも、進行の原因が潜んでいます。 関節を安静に保つことは確かに一時的には痛みの軽減に繋がっても、長期的には骨の弱化、筋力低下、場合によっては、可動域の制限、更には脚の長さにまで影響を及ぼすことがあります。 打った、転んだなどの急性痛とそれ以外の慢性痛では、一般に治療の仕方が異なります。 多くの股関節痛は、動かしながら症状の改善を図るのが、基本です。 安静度の設定には、ご自身の判断のみならず、病気に詳しい知識のある専門家のアドバイスが不可欠です。

病院で痛み止めの薬を処方された場合の注意点

痛みを抱え受診すると、痛み止めが処方されることがあります。 痛み止めも、効く効かない、人や症状により効果は様々です。 一旦使用してしまうと、依存的になり、服用を止められない方もいらっしゃいます。 また、運動療法を主体とした保存療法では、痛みの判別が難しくなることが多く、その効果を発揮しにくくなります。 使用するのであれば、活動量に応じてできるだけ短期に、長期に渡り使用し続けると、重篤な合併症、肝機能障害や精神的な不安などを引き起こすことがあるため注意が必要です。

痛みに効くとされるサプリメントは有効なのでしょうか?

コンドロイチンやグルコサミンなど各種サプリメントの効果は、痛みの緩和に有効であるとの報告が多いのですが、長期的な有効性や病期の進行予防効果については不透明です。 アメリカで現在行われるChoosing Wisely, 過剰医療の削減を目的とした運動でも、サプリメントの使用は推奨されていません。

杖は使っても良いのでしょうか?

杖を使用すると確かに疼痛の緩和が期待できます。 しかし長期に渡り使い始めると、確実に筋力は衰えます。 杖を使用しても、頼り過ぎず、適度に荷重を促すことも、筋力低下は引き起こさないためにも大切です。 杖も上手に利用しましょう。 握る手にも負担をかけ過ぎず、特有な前傾姿勢を助長することがないように、意識したいところです。

減量した方がいいのでしょうか?

痛みがあれば、なかなか運動にも取り組めず、体重を落とすのも困難でしょう。 確かに体重が重いとそれだけ股関節への負担が増します。 股関節への負担は体重に比例します。 しかし、それよりも姿勢や動作による影響の方が大きいため、負担の少ない身体の使い方をマスターできると、それほど減量にこだわることもないでしょう。 股関節への負担を作るような姿勢や動作を改善させることが結果的に減量にも繋がります。

関節が固まらないようにしましょう

進行性とはいっても、必ずしも歩けなくなる、手術が避けられない、というわけではありません。 但し、かばったような使い方のまま生活を送れば、股関節の可動域が狭くなります。 その結果、靴下が履けない、爪が切れない、真っ直ぐ歩けない、など日常生活動作に不都合をもたらします。 変形性股関節症の保存療法を実践する上で大事なこととは、症状の進行に伴う可動域制限を最少限に抑えることです。 一旦かたまった関節を動かすようにするには、大変苦労します。   

筋力を正しく強化しましょう

可動域が狭くなれば、必ず、筋力は衰えます。 狭くなった関節では負荷のかけ方を誤ると、余計に可動域を狭くします。 病院リハビリで根強く残る脚上げトレーニング、中殿筋強化理論”も、可動域が充分に確保できていない状態で行えば、その影響が必ず痛みとなって返ってきます。 筋力強化の前には、まず働かす筋肉の状態を整え、ある程度可動域を確保した上で、適切な負荷をかけていくことが、筋力強化への近道です。 順番を間違えれば、痛みを増加させ、可動域制限をもたらすリスクも伴います。

脚長差が起きないように

脚長差とは、左右の脚の長さに差が生じることです。 実は「自己流の保存療法」に長年励んでいらした方や、先天性の脱臼の既往があった方に多く見受けられる症状です。 また骨切り手術後や関節唇損傷手術後では、骨の変形に伴い、脚長差が現れることがあります。 一旦脚長差が生じてしまうと、筋力や可動域制限を伴い、見た目や容姿にまで影響を与えますので、 保存療法を正しく理解する専門家に相談し、身体の使い方に左右差はないのか、大事に至る前に改めてチェックを受けておきたいところです。

自分にあった運動を適度に

保存療法にも、水中歩行やウォーキング、筋力トレーニングなど、雑誌やインターネットを通じて様々な運動方法が紹介されています。 どれも間違ってはいませんが、注意しなければならないのは、症状には個人差があり、それぞれに適したトレーニング方法があるという事です。 保存療法の専門家に相談して、ご自身に適した方法を選び行うことを心掛けましょう。
例えば、水に入ると冷えて痛みが増す方もいらっしゃいます。 長歩きをすればその晩、翌日に痛みが増す方もいらっしゃいます。 筋力トレーニングでは、その方法によっては逆効果となることさえあります。 善かれと思い始めた運動が、実は、身体には適していないことも頻繁にありますので、事前に、ご自身の身体の使い方の癖や特徴を理解した上で行いましょう。 また元々運動経験のない方では、一気に運動量を増加させないことも、痛みの管理の上では大切です。

日常生活の中で運動療法を

普段の日常生活動作も、上手に活用すれば、可動域訓練、筋力強化に様変わりします。 椅子からの立ち上がりは足腰を鍛えるスクワット。 普段の立位姿勢は、お腹周りを鍛える体幹トレーニング。 歩行動作は、片脚でのバランス練習。 アイディアひとつで、日常生活動作も効果的なトレーニングの場、効率的な保存療法に生まれ変わります。

歩き方のトレーニングも重要です

保存療法では外せない課題に歩行があげられます。 歩行の改善には、歩きのためのトレーニングが必要です。 一日5000歩が日課の人では、片脚で2500回体重を支えることになります。 その時の筋肉の使い方、バランスの取り方が、その先将来の股関節の健康に直結します。 多くの方が、痛みの治療に専念するあまり、歩きの調整が後回しにされがちです。 あるいは、指導を受けられる環境にいらっしゃらないのかも知れません。 悪い癖が付く前に、並行して取り組んでおきましょう。

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