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海外における理想的な股関節治療

海外における理想的な股関節治療

国により事情も異なりますが、日本の現状と海外とを比べて、最も相違なる点は以下の3点です。

  • 医療システム
  • 理学療法士の役割と技術
  • 国民からの信頼

研究報告においても、臨床場面においても、理学療法士が医師に台頭し活躍できる国では、医師と理学療法士が協業できる医療システムが既に構築され、積極的に股関節治療へも携わることで成果を上げています。医師が処方箋を書き、理学療法士を紹介し、ホームドクター的な役割で理学療法士が常駐し、ファーストコンタクトでも治療できる環境が整っています。またそうした立場だからこそ、意識も高く、確かな知識と技術が備わり、国民の信頼も厚いです。

対して日本では、理学療法士にかかるためには医師の診察が必要です。医師の中には理学療法士の役割を軽視する見方も少なくなく、理学療法士の指導を受けるには大きな壁が立ちはだかります。病院に勤務し、医師の指示を待って働くだけでは、社会の期待には応えられません。また先進諸国と比べ教育水準も決して高くはなく、日本では養成校の半数以上は専門学校が占めます。看護師や医師などの他の専門職と比べても、遅れをとっている事実は否めません。こうした背景が、理学療法士の積極的な関わりをますます困難にさせます。理学療法士もアイディアを絞り出して、自らが国民の健康に寄与できる方法を見つけ出さなければならない時期を迎えています。

海外でも2000年以降に広まりはじめています

ひと昔前までは、医師が、「この治療を行います」と言えば、「はい、よろしくお願いします」という流れが当たり前の世の中でした。しかし現在「患者側の権利」が尊重されるようになり、数ある治療方法のメリットとデメリットの説明を正しく受け、患者側にとって最良の手段を「選ぶ権利」があります(インフォームド・コンセント)。同時に、医療を施す側には、安全で効果のある最良な治療方法を提供する義務があります(EBM:Evidence-based Medicine 医学的根拠に基づいた医療)。

我々が病院で医療を受けるとき、医療行為は「根拠」に基づいて選択されています(根拠とは、過去の研究報告から判明した情報です)。従来の股関節治療における「根拠」に基づく選択は、薬物療法で経過観察をし、最終的には手術を選択するのが、これまでの一般的な考え方でした。

海外においてこの考え方に変化が出てきたのは2000年以降です。経過観察や手術を行うのではなく、運動療法を主体とした「保存療法」を実践することが、股関節痛の解消、運動機能の向上に役立つことが分かってきました。たとえ骨の変形が残ったり完治が望めなくても、症状を緩和し、進行を抑え、手術をしなくても良い状態を維持することが、保存療法で可能であることが明らかになってきたのです。海外からは保存療法の有効性を証明する研究も多く発表され、股関節痛の治療においてその重要性はいっそう高まりつつあります。

日本ではどうすれば良いのか?

日本の医療環境下においては、未だ制度的、物理的な問題から、医師との連携は難しく、保存療法が十分に提供されているとは言い難い現実があります。数分程度の診療時間では、保存療法の本質すら知らされずに、次々と手術の決断を余儀なくされているのです。

日本人の股関節痛には、日本人特有のライフスタイルに合わせた保存療法の介入が必要です。その実践にあたっては、もっと日本国内の理学療法士も海外で活躍する理学療法士の働き振りを見習い、主体となって携わる機会を探し求め、正確な知識と治療の場を提供することが望まれています。

そして、患者様の側では、広い視野で股関節の病気と治療法について正しい情報を収集し、適切なアドバイスができる良い股関節専門の理学療法士を見極める必要があります。

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