股関節の病気

大腿骨頭壊死症とは

大腿骨頭壊死症とは

大腿骨頭壊死症とは、何らかの理由で大腿骨の一番上端の骨頭といわれる骨部分への血流が阻害されることで壊死に陥り、関節面が陥没したり変形することで、股関節痛や運動障害を引き起こす病気です。 その分類は大きく、基礎疾患など明らかな原因によって発症する「続発性(症候性)大腿骨頭壊死症」と原因が明らかではない「特発性大腿骨頭壊死症」に分けられます。 ステロイドの大量摂取やアルコール多飲などが背景因子として知られていますが、骨髄内圧上昇説、脂肪塞栓説、血液凝固機転異常説、血管病変説、微小骨折説など諸説疑われ、どういった過程を経て阻血性変化が成立するのかは未だ明らかではありません。 血流が阻害され、大腿骨頭壊死症が発生も、疼痛を自覚しないこともあり、壊死の発症と疼痛の発生は必ずしも一致しません。

大腿骨頭壊死症の治療法

治療にあたっては、壊死の範囲や大きさ、痛みの程度、内科的な合併症などが考慮され決定されます。

  1. 保存療法

    壊死や痛みの程度から予後が良いと判断される場合には、保存療法が選択されます。 骨頭圧潰に伴う骨折と骨髄浮腫に伴う骨頭内圧上昇が生じる時期に、最も痛みを強く感じますが、これも長く続くわけではありません。 炎症期さえ過ぎれば、次第に痛みも緩解してきます。 保存療法では、痛みの強い炎症期をいかに過ごすかが大切であり、痛いのでかばい過ぎると、炎症期を去った後、関節の硬さや筋力低下をもたらします。 痛みの強弱に応じて、杖などの歩行補助具も活用し、負担になる日常動作に留意しながら、できるだけ運動障害を後々の生活に残さないことを考えなければなりません。 炎症期さえ無事に乗り越えられれば、その後、圧潰した骨が修復されることも保存療法では期待できます。

  2. 手術療法

    手術療法には、自骨による方法と人工関節による方法が用意されます。 大腿骨頭を一度切り離し、壊死部を回転させ、健康な骨で荷重面を作る関節温存手術を目的とした大腿骨頭回転骨切り術、大腿骨内反骨切り術、最近では濃縮自家骨髄血移植術などの新しい手術方法も行われます。 また人工関節による方法では、圧潰した大腿骨頭だけを取り替える人工骨頭置換術(Bipolar Hip Arthroplasty:BHA)、あるいは股関節部全てを入れ替える人工股関節全置換術(Total Hip Arthroplasty:THA)が行われます。 骨切り術と比べると、早期に荷重ができる利点があり、入院期間も短期で済む代わりに、耐久性の問題があり、将来的な再置換のリスクが心配されます。

大腿骨頭壊死症の施術事例(全11件)

[施術事例] 50代 大腿骨頸部骨折

40~50代で転倒による股関節の骨折が増えています。 主に、大腿骨の頸部骨折ですが、私が大学病院に在籍していた当時は、70代を中心とした高齢者の疾患として捉えていました。今や一回りも二回りも若返り、若い方たちに増えています。私たちの世代も例外ではありません。うっかり転んでしまった結果、人工関節に至ることもあるのです。 ご相談いただいたのは、50 . . .

[施術事例] 50代 大腿骨頭壊死症

保存施術+ 手術を回避
痛みがあっても動かしながら完治を目指す。 変形性股関節症や大腿骨頭壊死症との診断を受けると、怖くなり、動かさなくなってしまう方が多くいらっしゃるようですが、動かさなくなると、次第に関節は拘縮を起こし、脚長差を作り、跛行から抜け出せなくなることがあります。そうなる前に予防的に、上手に痛みと向き合い、スムーズに社会復帰を目指しましょう。 ご相談いた . . .

[施術事例] 50代 大腿骨頭壊死症 人工股関節手術後

保存施術+ 手術後
人工股関節の手術をすれば多くのケースで痛みは解消されます。ところが、歩き方に問題が残れば不具合も訴えることもあります。短期入院が主流となった今、歩き方への介入が終わらずに、ご自宅へと戻されてしまうケースが増えています。 ご相談いただいたのは、50代女性、大腿骨頭壊死によりナビゲーションによる人工股関節置換術を行っています。 幼少期には股関節のト . . .
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[保存施術] 大腿骨頭壊死症の痛み

さて今日は、大腿骨頭壊死についてです。 大腿骨頭壊死症もまた、痛みの原因を特定するのが困難な疾患です。 レントゲンやMRIなどの画像所見上は、確かに、大腿骨頭壊死症と思われる症状は呈していても、実際には、痛みがそこにないことがよくあります。 そもそも壊死がどのような過程を経て発症するのか。また、その治療法は?このあたりは未解決なことも . . .

[リスク] 人工股関節手術後の緩み

今週からドイツで変形性関節症の国際学会がドイツで開催されています。 https://2022.oarsi.org あいにくの世界情勢ですので昨年に引き続き今年もリモートでの参加ですが、時差もあるため興味のあるセッションは深夜に及ぶため目をこすりながらの試聴です。今朝は参加するグループからこんなニュースレターが送られてきて、改めて、世界の共通 . . .

[保存施術] 医療機関との連携

なかなか日本では、変形性股関節症に対する保存療法に理解をいただける医療機関は少ないわけではありますが、それでもその輪は少しずつ広がりつつあります。 一昨日は雑誌の取材をお受けしました。 股関節とは、身体の奥深くに存在する関節のため、その異常に気が付けるチャンスが少ないように思われます。特に、日本では海外のような肥満が原因で変形性関節症に至る . . .
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