再生医療「後」のご相談が増えています。
最近テレビCMやインターネット広告でも大変多く目にするようになりました。皆さまからも「本当によくなるのでしょうか」との問い合わせも寄せられます。一番は、間近で結果をみている専門の先生方にお聞きするのがよいと思われますが、ginzaplusでも現状と問題点について触れておこうと思います。
まずは、学術的にどうかといえば、変形性股関節症への効果を示す研究論文を探すのはとても大変です。なかなか最新の知見が出てきません。私の探し方が悪いのだと思いますが、「股関節」よりも「膝」、「PRP」については触れられていても「幹細胞」に関しては、ほとんど存在しないように思われます。
先日お越しくださったその方は変形性股関節症の進行期ですが、股関節症への再生医療を希望され、PRPと幹細胞のセットで数百万円。高級外国車が買えるほどのお値段です。
果たして、診療ガイドラインにも盛り込まれていない治療法に、そこまでかける価値はあるのでしょうか。
こちらは少し古い論文ですが、2019年の変形性股関節症に対する幹細胞治療成績を報告しています。
効果があるとの報告ですが、あくまでも「初期」の場合のみであり、先ほどご相談いただいたような進行期や末期については触れられていません。
股関節症への論文はあまりにも少ないので、膝に関しての最新の報告にも目を向けてみましょう。
こちらは、2023年のシステマティックレビュー、最新の内容です。
こちらによれば、幹細胞投与に関しては様々な問題提起がなされています。
一般に、再生医療を受けられる患者さんは「身体への負担がない」「悪くはならない」「合併症や後遺症がない」と説明を受けていらっしゃるようですが、実際には多数の合併症が寄せられています。
・痛み
・水が溜まる
・関節が硬くなる
・筋肉の痛み
こうした症状は、再生医療を受けた直後から現れる場合もありますし、時間経過と併せ徐々に複数の症状を併発することもあります。ginzaplusでもこうした症状を多く担当しています。
再生医療後の実際の様子です。
結果を踏まえ受け止め方はそれぞれでしょうが、決して満足していらっしゃる様子ではなさそうです。上記のような合併症に続き、筋力低下が進行し、杖がなくては歩けなくなる方までいらっしゃいます。
思い出されるのは、かつて2010年代に流行した股関節鏡による手術後の方たちです。当時も同じような依頼が多く寄せられました。片側で経過が不良だと反対側も治療を勧められ、やがて、宣告されるのは人工関節です。
股関節手術の種類、リスク、後遺症:
https://ginzaplus.com/jp/treatment/surgery/
これは私の考えですが、股関節は身体の奥深くに存在し、様々な組織が付着するため、他の関節とは違いかなり複雑です。そのため、まだまだ変形性股関節症の進行期や末期の方に、有効な治療といえるような段階にはないように思われます。
今後症例数を重ね、しっかりと適応を提示することで、こうした合併症や後遺症に悩まされる方を減らすことが、安全第一の治療となるためには必要だと考えています。
ginzaplus 佐藤正裕(理学療法士)