手術を勧められた方へ
些細な股関節のトラブルも「保存療法」からはじめましょう。
具体的な保存療法の主な内容
1
患者教育
2
筋肉ほぐし
3
ストレッチ
4
筋力トレーニング
5
バランストレーニング
6
有酸素運動
7
歩き方
ニーズや目的に合わせ、上記メニューを上手に組み合わせながら、症状の改善を図ります。
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中核を担うのは「患者教育」
海外では、多くの症状に保存療法が有効であるとの報告があるように、適切な保存療法を実践することで、手術を回避できる可能性が高まります。なかでも重要な役割を担うのが「患者教育」です。
日常動作で気をつけるポイント、やってもよい動きと避けたほうがよい動き、特に優先すべき運動メニューなど。こうした項目を早期に確認することで、余計な不安を抱えることなく、改善への道筋をつくることができます。
ところが日本では、限られた診療時間やリハビリスタッフの人材確保などの問題から、病院やクリニックでも十分な保存療法を提供することが難しい現状があります。その結果、患者教育や運動療法が十分に実践されないまま、経過観察と手術の話が先行してしまうのです。
人生100年時代を迎えるなか、患者教育に直接携われる理学療法士の役割はますます重要です。超高齢社会の日本を足元から支え、不必要な手術を減らすことで、本当に医療を必要とする場所に、適切な医療が提供されることを願っています。 -
日本人には「歩き方」と「筋肉ほぐし」を
海外では、肥満が変形性股関節症の大きなリスク要因として知られています。ところが、日本では必ずしも肥満の方ばかりではありません。特にginzaplusにお越しになる方は、標準体型や細身の方が多くいらっしゃいます。
では、何が股関節のトラブルに影響しているのでしょうか。
その一つとして、私が注目しているのが「歩き方」です。 幼少期から身についた歩き方の癖や、痛みを抱えるようになってからのかばう歩き。こうした長年の身体の使い方の影響が、股関節への大きな負担となっているのです。
さらに、股関節に負担をかけるような歩き方が続けば、股関節まわりの筋肉は硬くこわばってきます。いわゆる「筋肉のコリ」が、痛みやその他症状(可動域制限や筋力低下)の原因にもなります。
日本人には、日本人の生活背景に合わせた介入の仕方が必要だと考えています。 入念に筋肉をほぐし、歩き方の基本を再学習していく。そうすることで痛みが和らぎ、同じような筋肉の硬さも生じにくくなっていきます。
どのような方法で改善を試みるにしても、「筋肉をほぐすこと」と「歩き方を見直すこと」は、股関節痛の改善と再発予防を考えるうえで、外すことのできない大切な視点だと感じています。 国内の研究でも、歩き方と痛みとの関係については、多くの報告があります。ぜひ参考にしていただければと思います。 -
「診断名」に惑わされない
股関節は、幾重もの筋肉に囲まれ、身体の奥深くに位置する関節です。そのため、レントゲンやMRIなどの画像所見だけでは、痛みの原因を十分に説明できないことがあります。
股関節の痛みやトラブルを、できるだけ手術に頼らず、安全に改善へと導くためには、医学的な診断名だけにとらわれないことが大切です。
たとえば、
・股関節唇損傷
・寛骨臼形成不全(臼蓋形成不全)
・変形性股関節症
「股関節唇損傷」と診断された方でも、筋肉へのアプローチによって症状が緩和されることがよくあります。つまり、関節唇が痛みの原因ではないのです。また、「形成不全」が発覚しても、筋肉の状態や骨盤の傾きをコントロールできるようになることで、股関節痛が解消された方もいらっしゃいます。
「変形性股関節症」に至っては、脚長差や跛行をできるだけ生じさせないようにすることで、5〜10年経っても痛みを再発することなく、担当医から手術を勧められなくなった方もいらっしゃいます。
・大腿骨頭壊死症
骨に穴が空き、変形が残っても、痛みなく、杖すらも使用せずに、歩けるようになる方もいらっしゃいます。
このように「股関節の痛み」とは非常に特殊です。画像所見に頼り過ぎず、ときにご自身の勘も働かせ、視野を広げながら、無理なく理想的な回復を目指していただきたいと思います。
保存療法の進め方
- 1.詳細な問診
- 2.動作・歩行分析
- 3.施術
- 4.生活動作・歩き方の見直し
- 5.自宅でのセルフケアの指導
その場しのぎにならないように、再発予防に向けた自宅でのエクササイズも行っていただきます。
自分の脚で一生を歩き続けるために
ちょっとした股関節のトラブルも、
対処の仕方によっては、症状が悪化することさえあります。
できるだけ早い段階から専門家の指導のもと、
適切な保存療法のやり方を学びましょう。