筋力トレーニングも大切ですが、必要なのはバランスです。
「筋肉を付ける」という意味合いよりもむしろ「筋肉のバランスを整える」ことが必要だと考えています。軟骨がすり減ったり、骨の変形が起こったり、こうした影響は筋肉のバランスが乱れ、関節が不安定になることで、骨盤と骨頭の接触領域が偏り、部分的な集中をもたらすことで生じます。そのため、皆さんと一緒に歩き方を確認するのは、歩行、ウォーキングこそが最も筋肉のバランスを整える効果的なトレーニングだと考えているからです。
先日お越しになられた方は、筋力がないとの理由からこのような運動をするようにとの指導を受けていました。
果たしてこの運動は、本当に効果的でしょうか。
ご本人に確認すると「ほとんどやっていない」とのお返事。安心しました、正解です。当り前のように実施されているこの運動、実は、過度のストレスを関節に加えることがあるようです。あるドクターが研究されています。
▲元田:筋骨格コンピューターモデルと三次元剛体バネモデルによる股関節の解析 関節外科22 2003
矢印の長さは運動に必要な筋力を示しています。長ければ長いほど大きな筋力を必要としてます。
この図でもわかるように、脚を持ち上げるときに大きな負荷が筋肉に加わることがわかります。それに耐えられるだけの筋力があれば問題ないでしょうが、無い人にとっては苦痛でたまりません。特に、脚をかばって歩いている人や杖をついている人にとっては、普段使っている筋肉をさらに疲労させる運動ですから、痛みを助長させるかも知れません。
さらに、健常者と臼蓋形成不全患者さんを対象にした報告では、
この運動を行うことで、股関節の関節面に対する圧力が増加すことが報告されています。特に、臼蓋形成不全がある方では注意が必要です。データを鵜呑みにはできませんが、ここでの経験も踏まえると、関節症の進行を助長する可能性も考えられます。
股関節に問題のない方へは効果的な方法も、臼蓋形成不全があったり股関節症の場合には、不適切なトレーニング方法も存在します。ご自身ではこのあたりの判断は難しいでしょうがからぜひ専門家の意見を参考にして下さい。
佐藤正裕(理学療法士)