移転をし約1年、だいぶ落ち着いてきました。これまでのデータも整理しながら、新しいことにも着手し始めています。私が股関節症の方に携わるようになって、真っ先に調べはじめたのは「世界の動向」です。日本ではどこへ行っても手術、手術。これは、本当なのだろうか。今年は
https://www.oarsi.org 変形性関節症の国際会議</a>に参加してきましたが、ここへ出席すれば答えはすぐに見つかります。何も、日本のように「臼蓋形成不全」を病的に扱うこともありませんし、痛みの原因を軟骨のすり減りや骨の変形だけではなく、様々角度から検証しいくつもの可能性を提示します。一番の問題は、こうした最先端を学ぶ場に日本の専門家がほとんど参加していないことです。
文書で学ぶには限界があります。実際にその目で確認し議論を交わし、自分とは別の領域に声にも耳を傾ける、これほどの価値はないでしょう。日本では狭い範囲の中で、特定の専門家を介し答えを見つけ出そうとしています。世界の専門家が辿り着いた先は身体への負担の少ない治療、そして確実な効果を得られる手法です。人工関節を受けるには多額な費用がかかります。
この場へ参加する主要国は、これを非常事態と受け止めています。簡単にメスを入れることは推奨しませんし、それぞれの医師、理学療法士、各種専門家が、プライドをもって、国単位で負担を減らそうと努力をしています。手術が容易に受けらえる環境が整ったことは、確かに素晴らしいことですが、その負担は若い世代に残すことになります。
周囲を見渡せば主要都市を中心に「人工関節センター」の増設、新たな建設ラッシュ。私の住む町でも現在複数の施設ができ、新たにオープンを迎えます。世界の流れとは逆行するかのように専門的に保存療法を提供しようとする流れは断ち切られ、世間の意識は手術に益々傾くことになるでしょう。
最少侵襲による人工関節の窓口が一層広がり、リハビリの期間は短縮し、理学療法士に出会う機会さえなくなり、一方で、従来の手術と、手厚いリハビリを謳い文句に、2極化の構図が予測されます。患者さまにとっては、真実が伝わりにくくなる厳しい現実。それでも、問題の本質を見抜く努力を惜しまず、ご自身の望む治療に辿り着けることを期待しています。
昨年立ち上げた新たなホームページ
http://ginzaplus.com/jp/ には、股関節症治療の現状と問題点を分かりやすくまとめています。治療選択のヒントになれば幸いです。参考書代わりにお役立て下さい。
ginzaplus 佐藤正裕(理学療法士)