変形性股関節症 「進行性」とは?
変形性股関節症が指す「進行性」とは、一体何を表す言葉なのでしょうか。努力をしても防げないものなのか。それとも努力の仕方や程度によっては、進行を阻止することも可能なのでしょうか。

私が、進行を助長される要因の一つと考えているのは、医療者側あるいは患者さま側に蔓延する「安静にしなければならない」という誤った認識です。それは活動量全体を下げることでもありますが、股関節を極力使わなくする、つまり、かばうことです。想像してみて下さい。人間、安静にすれば筋肉は落ちます。骨も脆くなります。血液が全身行き渡らなくなれば、当然、軟骨も痩せ細ります。医療機関を受診すれば、50代、60代の方たちへが杖をつくよう指導されてしまう世の中です。

果たしてそれで本当に楽になるのでしょうか。一時的な快楽はあっても避けられないのは将来的な手術でしょう。ここは皆さま自身が気を付けていないと、数ヶ月のうちに変わり果てた姿と直面することになります。先日、7年振りにお越し下さった方がいらっしゃいました。股関節の痛みは軽減された様子でしたが、歩容を改善したい、とのご希望でした。しかし、ご本人も仰っておりましたが、当時とはまるっきり別人です。


股関節症特有な歩容パターン。上下、左右に揺れ、可動域制限に伴う脚長差の存在も明らかでした。触診すると股関節周囲の筋力はすっかり痩せ細り、股関節痛は改善されたは仰っておりましたが、跛行による腰痛に悩まされているようでした。お聞きすればこの数年間、ノルデッィクポールを使用し歩いているとのこと。少しでも痛みが楽になる、動けるようになるのであれば、どんな手法、何を行っても基本的には良いと思っています。

但し、繰り返しお伝えしておきたいのは、一時的な安静ならばまだ影響は少ないでしょうが、長年に渡り、股関節を使わない、かばって動き過ぎてしまえば、やがて、取り返しのつかいない事態に遭遇します。「病識」という言葉があります。変形性股関節症とはどういう病なのか。保存療法をはじめるにあたって、この部分を学習することが非常に大切です。

本来ならば、健常者並みの歩容の獲得も無理ではなかったはずが、ちょっとした理解の欠如から脚長差、拘縮などが生じてしまえば、目標を低く設定せざるを得なくなります。今の状態ももちろん優先すべきですが、同時に10年後、20年後を見据えた新たなチャレンジも課していく必要があるのでしょう。ノルデッィクポールに限らず歩行補助具全般を使用する際には、「進行」を助長することがないようその意味を今一度考え、「目的」をはっきりとさせておくことが大切です。
ginzaplus 佐藤正裕(理学療法士)
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