先天性の股関節脱臼と先天性の臼蓋形成不全、両者の違いはご存知でしょうか。
最も注意しなければならないのは前者、幼少期に脱臼既往や手術経験があった場合です。
ご相談いただいたのは30代の女性です。
激痛から手術を決意し専門病院へ行きましたが、医師からは「骨の状態が人工に適さない」との診断です。大学病院でも受診しましたが「60歳までなんとかもたせるように」と説明されています。幼少期に脱臼、手術経験があり、脚長差もあります。現在は、股関節だけではなく腰や膝にも痛みがあります。寝返りを打つときにズキンっと痛み、痛み止めを服用しても朝まで熟睡できる日が少なくなっています。左股関節はゴリゴリ音がしはじめ不安になり、お越しいただきました。
保存施術を開始し計12回、約1年後の様子です。
移動時には杖を使用されています。
杖を外して歩くと、体重が上手く乗らず跛行が現れます。
日常的な痛みは残存するものの、少しずつ真っ直ぐに歩けるようになってきました。
トレッドミルでも軽やかに歩けるようになりました。日常的な痛みもほとんどありません。
荷物への対応の仕方も学んでいただき、これだけの筋力とバランスが身につければ、この先も安心です。
先天性股関節脱臼の既往がある場合、何らかのタイミングで痛みを発症させてしまうことがあります。肝心なのは痛みへの対応の仕方で、ここを誤ると坂道を転げ落ちるように悪化する(=人工関節)ことさえあります。
多少の脚長差や可動域制限も、筋力とバランス能力さえ確保できれば、何とかなります。日常生活動作だけは完璧に実践できるようにしておきましょう。
ginzaplus 佐藤正裕(理学療法士)