変形性股関節症 最近の動向と問題
私が理学療法士になろうと決意し進学した先は秋田大学でした。関東にも養成校は山ほどあるのですが、どこも学費が高く、私の貯金で通える学校は残念ながら一校もありませんでした。国立大学以外の選択の余地はなかったのです。そして、救って下さったのが秋田大学です。実はもう一校だけ受験をしたのですが、唯一秋田大学だけは社会人枠を設け、入試に英語論文を課している点にこの大学の魅力を感じました。しかし受験会場に着いてからはびっくり、もの凄い数の受験者数。合格者数3人枠のところに数百人もの受験生がおり、明らかに年上の社会人ばかりですから異様な雰囲気です。まさか受かるとは思いませんでしたから、本当に運が良かったのだと思います。そして入学後も運は続き、お世話になった担任の教授からは、理学療法士として生きる上での土台を築いていただき、日本の理学療法士がなすべき役割、日本と海外との差、その誕生から歴史、社会性から専門性の追求へと、本来、理学療法士になって働きながら気が付く事柄を、養成校時代に学べたので、就職してからの迷いはありませんでした。当時の担任の先生は、医療機関に勤めることは勧めませんでした。ただ、理学療法士になったからには一度は病院勤めもしたいとの強い想いもあって、大学病院でも"一風変わったリハビリ"を実践している順天堂の門を叩きました。研究、臨床、そして教育、理学療法士としての理想を抱え入職したものの、ある出来事をきっかけに、そうした野心は次第に薄れていきました。それは、退院間際に渡される担当患者さまからの数々の手紙です。その中のメッセージに秋田時代に学んだ教えが蘇り、理学療法士のあるべき姿を再認識すると伴に、新たに理学療法士人生をスタートさせようと決意したのでした。

今月はお陰さまで、ゴールデンウィーク中の影響が鳴り止まず、休日も電話とメール応対に追われています。今では日本国内のみならず、海外からも股関節痛に悩んでいる方がお越しになられます。日本でも海外でも事情は同じようです。やはり、地元ではなかなか股関節を専門に診れる人がいない、と口を揃えおっしゃいます。

股関節痛を診れる理学療法士は少ない?


日本で理学療法士の指導を受けるためには医師の診察が必要です。医師の承諾が無ければ、理学療法士の指導には辿り着けません。それより何より、医師が保存療法の存在を知っていなければ治療の選択肢すら提供されません。私も学生時代、様々な勉強会に参加してきましたが、どういうわけか股関節関連の勉強会は少なかったです。人気が集まるのは、膝関節や肩の分野であり股関節はマイナー領域です。一般の病院に勤める理学療法士であれば、たとえ専門を謳っても、基本的には患者さまは選べず、あらゆる疾患を担当しなくてはならず、特殊な環境でない限り、股関節痛の患者さまだけを拝見することは困難です。学術集会等で報告される研究テーマにも、「股関節痛」しかも「保存療法」に関する報告は極めて稀で、まさに日本の医療体制が抱える問題点を反映しているかのようです。病院やクリニックせっかくリハビリ通院にまで辿り着けてもその効果すら感じられず、ドロップアウトする方も少なくありません。日本でもおそらく海外でも、どの理学療法士にあたるかによって、与えられる技術や知識には雲泥の差が現れるのが現実でしょう。いわゆる通常のリハビリ、プリントに書かれた運動メニューを指導するだけではなく、もしも、その場で痛みを軽減できるような技術を持ち合わせた理学療法士に巡り会えたのなら、本当にラッキーかも知れません。

リハビリよりも整体?


初回の方へ決まってお聞きするのは治療歴です。「股関節に良いことは何かされていますか?」返ってくる答えのほとんどは、「整体」です。股関節症を診断されても、
なかなか病院ではリハビリを受けられず、街の整体院や治療院にかかられている方が多いです。基本的に股関節痛の治療の場合、重篤な症状を除き、まずは病院のリハビリで保存療法を実践し、それでも改善されなければ、他の検査、治療方法を検討する、これが世界のスタンダードです。しかし治療の基本も実践されないので、困った患者さまの多くは、民間療法に流れ着くことになります。治療経過をお聞きしながら私も勉強になることが非常に多いのですが、股関節痛の場合、病歴の長短に関わらず、必ず「動き」に問題を抱えています。もちろん、整体等でほぐしてもらう、緩めてもらう、骨盤を調整してもらう、悪くはないでしょう。症状が少しでも楽になるのであれば、ぜひ続けてみて下さい。でも、もう少し深く追求してみると世界が広がるかも知れません。良い状態をこの先もずっと持続させようと思ったならば、動作へも配慮し気にかけることで、可動域や筋力も維持、回復され易くなります。股関節痛と上手に付き合うポイントは、ご自身の弱点、動きの癖をまずは知ることです、専門家に指摘してもらうことです。日常生活動作の質を高めることであらゆる身体の不調、問題が解決されるでしょう。チャンスがあれば、ぜひ理学療法士の指導も受けてみて下さい。

病院は初期治療が苦手?


いよいよ6月1日から新たにginzaplusがスタートします。これまで以上に保存療法のサービスに幅を持たせ、あらゆる可能性を試していきたいと計画しております。
最近の傾向としては若い世代の方たちが一層増えてまいりました。当初は50代や60代の方が中心でしたが、今ではひとまわりもふたまわりも若返っています。予防の考えを根付かせる上でも非常に良い兆候です。とにかく、股関節痛も若い初期の段階での生活への配慮が欠かせません。予防しようとの心構えこそが、将来への安心を生み出します。
手術を避けることにも繋がります。病院ではこうした時期の治療は一般的に手薄であり、「様子をみましょう」「悪くなったら来て下さい」といわれ、帰された経験をされた方は多いのではないでしょうか。実は、このときこそが股関節治療のタイミングです。ginzaplusでは、初期時の対応が非常に重要だと考えています。「痛み」を勉強すれば分かるように、放っておけば次第に身体的な問題だけでなく、精神的にも影響を及ぼします。初回の段階でいかにスムーズに早期治療、予防に乗り出せるかが、手術を避けるための股関節治療成功への鍵です。

今年からは予約枠を拡大致しました。できるだけお待ち頂かずに施術を受けられますよう体制を整えてきました。またこの6月からは駅に最も近いところへ場を移し、遠方の方、杖でお越しいただく方にも、アクセスしやすい環境を優先しました。万が一、予約カレンダーが一杯でもお問い合わせ下さい。もしかしたら、状況によっては、時間外でも対応させていただけるかも知れません。初期の集中的な関わりで、その後何の不安もなく上手に痛みをコントロールできる方が増えています。これが、理学療法士ができる理想的な治療的介入手段と感じています。違和感やちょっとした痛みでも気になることがあれば、お早めにご相談下さい。早めの対応で手術は防げます。
ginzaplus 佐藤正裕(理学療法士)
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