現在日本では、レントゲン上明らかな変形がない、ほぼ正常と思われる股関節も痛みを訴えれば、股関節唇損傷を疑われる機会が非常に増えています。先日、大阪出張時に御会いした方もまさに同じような体験をされていらっしゃいました。
寝返りをうった際に股関節周囲の激痛に見舞われ、訪ねた医療機関では画像所見の結果、股関節唇損傷、手術が必要との診断。しかし、痛みを抱えるようになった経緯を聞けば、診断名とは別にまた他のところに痛みの原因が隠されているようでした。若い頃から様々なスポーツに取り組まれ、スキーにおいてはインストラクターレベル。数十年前には、膝の外科手術も経験。そうなると、たとえ画像上の股関節唇損傷との診断でも、おそらく、その治療に手術など必要とせず、保存療法でも十分解決可能であると予測されます。
例えば、この方が痛みを訴える動作とは、下の写真のような動作です。
脚をクロスさせた前屈み、お辞儀をするような動作で痛みを訴えます。痛みが出るのは、ちょうど右手でおさえているあたりです。これ以上前屈みになることができず、趣味のバイク、股がるような動作では更なる苦痛を訴えます。
写真のようにしゃがむ動作、深く股関節を曲げるような動きでも痛みを訴えます。そのため、自宅の和式トイレが使用できません。
確かに医師の仰る通り、股関節唇損傷はあるにはあるのでしょうが、今、訴えている痛みとの関連性はどうなのでしょうか。股関節唇損傷との診断を下されたとき、どういった運動、どうのような股関節の動きが股関節唇へのストレスを招くか確認しておきましょう。
そして、一連の検査と治療的な介入を経て、どのように変化したかもチェックしておきたいですね。
施術前にはできなかった動作も痛みなく床に手が着くまでに改善されています。
しゃがみ動作も問題がなくなりました。スムーズにできるようになっています。
担当の先生には本当に申し訳ないのですが、痛みの原因はおそらく股関節唇損傷ではなく、何か別の問題であったはずです。
特に最近多いのは、ヨガやバレエ、サッカーやテニス、バレエボール等の球技、はじめたばかりのスポーツで痛め、股関節唇損傷と診断されるケースが増えています。例えば、アメリカでは股関節唇損傷が好発する競技には、特殊性が報告されています。日本でもこうした視点での診察が必要なのではないでしょうか。
ginzaplus 佐藤正裕(理学療法士)