[変形性股関節症] 適応と効果
股関節痛も軟骨のすり減りや骨の変形に代表されるような関節内の問題だけではなく、筋肉も大きな影響を与えます。特に、初期ではほとんどの股関節痛が筋肉疲労といわれ、進行期や末期であっても、筋肉に起因した股関節痛の存在は否めないでしょう。

今日は、これまでの私の治療経験から股関節痛を改善させるポイントをいくつかご紹介させていただきます。これから治療に臨む方、あるいは継続中の方のご参考にしていただけましたら幸いです。


杖をつかなくても10分は歩ける


まず、股関節痛を抱えると手術をすべきかどうか、迷うところでしょう。ある有名な股関節専門医師は、患者さんにこのようにアドバイスされています。

「変形があったとしても、最終的に手術をするかしないのかの判断は患者さんが決めるもの」

手術が専門であり、数多くの症例数がある医師でもこのようにご助言し治療の選択肢を広げて下さいます。手術をすれば解決されるような痛みも、実はわざわざ手術まで行わなくても解消される痛みがも多いのです。手術を先延ばしにすれば、将来、車いす生活の生活が待っているのでしょうか。骨が変形し潰れて痛みが増すのでしょうか。それでも手術が必要かどうか迷う時があるでしょう。その判断の目安となるのは、手術前における「運動機能」です。

例えば「杖の使用の有無に関わらず10分以上は歩ける」私の経験でありますが、これだけの運動機能が既に備わっていれば、真っ先に手術の必要性を考えることはないでしょう。しかも、未手術で何とかしのいでいこうとの前向きの意識さえあれば、短期のうちに保存施術により効果を実感いただけるかも知れません。

どんなにシビアな痛み、運動時痛や夜間痛があっても「10分以上歩ける」、これさえクリアできていれば治療の選択肢は広がります。


専門家との出会い


そして、もう一つ大切なのは、支援する専門家に辿り着けるかどうかです。

変形性股関節症の診療ガイドライン、つまり、専門家向けに書かれた教科書の中にはしっかりと保存療法で改善されない症状の場合のみ手術、と明記されています。しかし実際には、手術が主導であったり、保存療法も薬と簡単な運動指導のみで十分にその役目を果たしていない現状があります。例えば、医療機関、整形外科+リハビリテーション科(理学療法)が併設されてるような病院では、上記のガイドラインに沿った治療が提供されているかも知れません。

都会の大規模病院よりも、地元の小さなクリニックや個人病院、医師の理学療法士への理解がある病院では、適切な治療方法を提示して下さる可能性があるかも知れません。そして、通院リハビリ処方にまで漕ぎ着けたのならば、腕の良さそうな評判の理学療法士を指名しましょう。難しいところでもありますが、この際ですから主任クラス、若手ではなく、痛みの治療に優れた理学療法士の指導を仰ぎましょう。この分野はそれだけ経験がものをいいます。明らかに効果に差が現れるからです。

杖なしで10分以上歩ける、しかも、リハビリを受けられる環境にまで辿り着けたのなら、未手術による股関節痛の克服ももう目前です。しかし、ここまで条件が整っていても、10人にひとりは救われない可能性もございます。

それは何か。その問題の多くは、メンタルだと考えています。


精神的な股関節痛


変形性股関節症とは、単に関節内外の器質的な問題以外に精神的な影響が大きく関与しています。「身体的な痛み半分、精神的な痛み半分」股関節痛の治療も時間との勝負です。そして、初診の情報が極めて肝心です。解決できるタイミングで直ぐさま痛みを取り去らないと、不安だけが募り、やがて、本来の痛みとは違う種類の痛みを引きづるようになります。

頻繁に起こるのは、股関節痛を抱え専門機関にかかり、初診で変形性股関節症との診断名を告げられ、急に怖くなり、一歩歩けば軟骨がすり減っちゃう、関節唇が挟まっちゃう、誤った誤解から精神的な苦痛を呼び起こし、痛み症状を深刻化させてしまうことです。

こうなってしまうと、もはや股関節だけの問題に留まらず、家庭環境、仕事、ご近所付き合い等、痛みとは無関係に思えるストレスまでもが、股関節の痛みに影響を与えるようになるのです。改善のスピードを比較しても、圧倒的に医療機関にかかる前に、直接お越し下さった方の方が速やかに解消されています。

逆に、医療機関で、診断名を告げられ適切な痛み治療が施されず、治療のタイミングが送れた方たちの方が、精神的な影響から、その改善にも多くの時間を要すことになります。

股関節症の方では、冷えたこの冬の季節に痛みの訴えが強く現れます。保存施術の効果判定にも役立つ四季。昨年の冬に比べ、痛みの訴えが少ない、動き易い、お風呂で温める機会が減った、との実感があれば上手く機能しているはずです。それが、毎年この時期は辛い、年々辛くなってくる、との訴えがあれば、この春~秋にかけての取り組みを
新たに見直す時期を迎えているのでしょう。


まとめ


決して手術を否定しているわけではございませんが、日本では、ガイドラインにそぐわない診療が行われ、不要な無駄な検査や手術だと思えてしまうような医療行為も多く目にします。その理由のひとつは我々のようなコメディカルが、股関節治療の最前線に参入できなかった歴史があるともいえるでしょう。良い意味で、患者さんのためにも、理学療法士は整形医師の脅威であるべきと考えています。

それは何も敵対意識を持つということではなく、お互いがお互いの専門分野に信念をもって切磋琢磨し、同時に"こうした症状には医師に任せよう"とか、"こうした症状なら理学療法士の力で何とかなるでしょう"といったように、守備範囲を明確にし、それぞれの領域をわきまえた医療を提供することが必要であると感じています。

そしてその結果が、患者さんにとっての納得のいく優しい医療に繋がるのではないでしょうか。まだまだ若輩ではありますが、股関節を専門に取り組みはじめることで、
本当に多くのことを学ばせていただいております。日々進歩を胸に刻み、医療の枠を越えて最良な股関節治療の実現を理学療法士としてできる限りのことを提供していきたい、
と計画しております。

ginzaplus 佐藤正裕(理学療法士)
----------------------------------------------------------------------

ginzaplus

住所:東京都中央区銀座4丁目8−14

陽光銀座ビル5F

電話番号:03-6228-6058

----------------------------------------------------------------------