[講演活動] はじめての湘南・藤沢教室
[講演活動] はじめての湘南・藤沢教室
今月末広島で股関節学会が開催されます。股関節治療の専門家が一同に集う年に一回の貴重な機会です。私もたっぷり吸収してくるつもりです。今最も関心を寄せているのは最新の手術事情です。手術に抵抗がある方も多いとは思いますが、きちんとした正しい情報さえ入れば、決して手術も怖がるものではありません。特に保存療法での改善が難しい方へは、無くてはならない治療手段です。ただ同じ人工関節とはいっても、筋肉を切る、切らない。前から行うか、それとも後ろからか。その後の合併症やスポーツ復帰に向けて、など。目的や希望に応じた様々な手法がありますから、手術を検討する方へも的確なアドバイスができるようしっかりと学んできたいと思います。

それとやはり外せないのは、我々の専門領域でもある保存療法に関する報告です。数こそ多くはありませんが、保存療法の現場で働く医師からのご意見も伺えそうです。どのような心情で保存療法を通じ患者さんと向き合っているのか、関心があるところです。早速手元に抄録が届いております。そこにも書かれていますように「国情を含む社会・医療環境などの背景の相違」が立ちはだかり、日本では、保存療法の効果を示し、提供することの難しさが懸念されます。救いたくても救えない現状、保存療法で改善を待ちわびる声が上がる一方で、臨床の場でも医療者は頭を抱えているのです。

率直に申し上げると、保存療法で着実な効果を上げようとするならば、やはり「時間」が必要です。マンツーマンによる指導ができる場が与えられ、度重なるチェック作業。否が応でも短期的、あるいは長期的な時間と場が必要となり、この点において、現行の医療システム下にあっては、なかなかそれが許されない。リハビリ日数には制限が設けられ、実際の患者さんデータは集めにくく、その効果も証明されにくい。そうした影響もあってか、外科療法と並んで保存療法の存在すら、患者さんへは的確に提供されない現実があるのです。


さて、変形性股関節症とは一般的に進行性と扱われますが、果たして本当に進行性なのでしょうか。学会でも、予防に関する話題はいくつかありますが、股関節治療分野における予防といえば、やはり、股関節唇損傷といわれる病態に対する関節鏡視下術でしょう。芸能人やスポーツ選手がこの手術をし一躍有名にもなりましたが、最も身体への負担が少ない手法を用い、軟骨組織の損傷部位を早期に修復することで、変形性股関節症を未然に防ごうとした外科療法です。最近では、全国的にも手術は行われ、あらゆる所から患者さんもお越しになられます。文献的にある程度一定の成果を残せたとはいっても、専門の先生の間でも、臼蓋形成不全を抱えた患者さんに合併した場合は、「股関節鏡手術の成績は良好とはいえず、手術方法や適応を再検討すべきである」または「臨床症状や診断法などいまだ広く知られておらず、正しい診断に至るまでに平均2年以上を要する」との報告もあり、手術の有無の判断については、慎重に進めていく必要がありそうです。
股関節唇損傷による股関節痛の診断, 治療. 医道の日本 72(4):103-111, 2013

実際にこの数年で急激に増えたのは、股関節鏡による手術を受けた患者さんたちです。臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)は、学会ではおおよそ90パーセントの確率で、変形性股関節症に至り手術との報告があります。それで上記のような発想の手術が、日本でも応用され始めたのですが、現在のところ、これがなかなか上手くいってはいないように映り、結局、数年のうちに人工関節を余儀なくされる方たちを拝見してきています。


先週末の土曜日、朝日カルチャーセンター主催の勉強会がありました。当日は80名以上の皆さんにお集りいただき、股関節を正しく使うことの大切さを、股関節痛を未然に防ぎ、進行させないためのポイントを日常動作の視点からお話しさせていただきました。保存療法で大切なことは、まず、病気に対する正しい理解です。どういった動きから痛みを引き起こしてきたのか。多くの方が、微細なストレスの繰り返しにより、痛みの原因をあちこちに作ってきたはずです。その原因ともなりそうな、動きを今一度見つめ直すことで、今後の進行を予防し、改善へと導きだそうとするのが、今回の勉強会の目的です。

荷物を持ってはならないと聞くが、本当にダメなのか。杖を着くと、キャスター付きのバッグを使うと、どんな負担が待ち受けているのか。どんな筋トレなら必要なのか。これまで当たり前のように語り継がれた、ある種の迷信にもその後の真実を投げかけながら、皆さんと一緒に身体を動かしながら確認しました。当日は2部制で行われ、初回午後1時からのクラスではほぼ全員が未手術の方。後半のクラスでは、杖を使用される方も何人かみられ、1/4くらいは手術経験者。ほとんどが初対面の方でしたね。これまでの勉強会とは異なり、今回は机を取り除き、実際に身体を動かす時間をできるだけ多く費やし、質疑応答の時間もとりながら、皆さんの生活場面に即した、保存療法の実際をご指導させていただきました。





上の写真は寝る姿勢について質問を受けているところです。多くの人たちは膝下に枕を入れると楽とおっしゃっていましたが、どうして膝下に枕を入れたくなるのか。その原因を身体を動かすことを通じて、体感していただきました。



こちらは、歩き方のポイントを体験していただいております。

講演会後、全て方からのアンケートに目を通し嬉しいコメントをたくさんいただきました。なかでも「シリーズでやって欲しい」との意見が多かったのには驚きました。皆さんの強い要望こそ私にとってのエネルギーです。まだまだお伝えしたいことは山ほどございますので、また機会がございましたら、有益な情報を皆さんと一緒に共有できたらなぁと思っております。今回は本当にありがとうございました。改めて朝日カルチャーセンターのスタッフの方たちへも感謝申し上げます。

講座を受けて「これならできそう!」「前向きに取り組めそう!」「自信に繋がった!」との成果があれば、ぜひ一度マンツーマンの指導も受けにお越し下さい。不安から安心へ、そして確信へと変わるでしょう。


ginzaplus 佐藤正裕(理学療法士)
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