自己流の保存療法を実施することで、かえって症状を悪化させてしまうこともあります。かばいすぎたり、極端に患部を労った生活をしていると、やがて取り返しのつかない事態に遭遇することもあるので注意が必要です。
痛みをかばうような一連の日常生活動作、杖を絶やさない日常生活、さらに、活動量が一気にプラスされることで、関節症は加速し脚長差をもたらす恐れがあります。
特に、先天性の既往がある方や何年も前に臼蓋形成不全との診断を受けていれば、念のためにチェックを受けておくことが好ましいでしょう。
40代の女性です。臼蓋形成不全を抱え脚長差を感じるようになったのは約6年前。
脚長差の前触れ:
「いつもズボンの裾が擦り切れるのが気になっていた」
「つま先で立つようになっていた」
初めてお会いした際の歩き方の様子です。
約2年通っていただき、これまでの負担になっていた身体の使い方を徹底的に治しました。前傾気味だった姿勢も少しずつ起きはじめ、現在では週5日の立ち仕事もこなせるまでになりました。せっかく「動くこと」が好きなのですから、できるだけよい姿勢、負担のない歩き方で生活、仕事、趣味活動を楽しんでいただきたいと思います。
▲Bhave A:Improvement in gait parameters after lenghening for the treatment of limb-length discrepancy. J Bone Joint Surgery 81-A 1999
脚長差があると、どうしても最後の蹴り出しが弱く、体重の乗せる量、時間伴に減少してくることが報告されています。蹴り出しが無くなると、前進するためのエネルギーを何とか工夫しなければなりません。
それが、変形性股関節症の方に共通してみられる特徴的な歩き方です。
股関節周りには筋肉のコリが生まれ始め、可動域制限、更には、主要な筋肉の筋力低下が起こり始めます。脚長差に対する対応は、しっかり全身をくまなく診て、状況に合わせた選択が望ましいでしょう。
皆さんの身体には、これまで発掘されてこなかった潜在的な力が備わっています。"眠った能力"です。ご自身では見つけることが困難かも知れません。ぜひ専門家をご活用下さい。
ginzaplus 佐藤正裕(理学療法士)