股関節に痛みを抱え、我慢して歩くようになると、本来の筋肉の使い方を忘れます。専属のトレーナーさんがいて、すぐにでも筋肉の復活の仕方を伝授してもらえればよいのですが、多くは痛みを抱えたまま歳を重ねてきます。
筋肉は様々な性質が存在し、こうした筋肉の特徴をも理解し、生活に活かせると身体は楽になりますし、また違った人生の楽しみ方ができます。
イギリスのドクターで神経生理学者でもあったSherringtonらによって研究されていた「伸張反射」といわれる現象があります。簡単にいえば、筋肉は伸ばされるとまた元に戻ろうとする働きのことです。良質のゴムだとお考え下さい。実は私達も日々の生活の中でこの性質を利用しています。
例えば、歩き方です。
股関節に体重を乗せ、しっかり前腿を伸ばし続けると、黙っていても伸ばされた筋肉は縮もうとします。本来、前に足を出そうなどと意識をしなくても脚が勝手に前に出るものです。
ところが、股関節症の方ではいつしかこうした機能は忘れさられ、一生懸命に足を前に出すのが通常の歩きだと勘違いしてしまっています。これでは自宅から駅までの距離でも歩くのがしんどくなります。
いっつも前に振り出そうとして活躍しているのは、この筋肉ですね。
歩くときも、階段上がるときも、車の乗り降りの際も、ここにばかり負担をかけてしまいます。
問題なのは、普段の歩き方です。伸長反射をめいいっぱい活用し、前腿に負担をかけない生活の仕方を新たに獲得しましょう。
佐藤正裕(理学療法士)