変形性股関節症とは、ある程度の期間を経て慢性化した痛みを経験してきているため、その運動指導やトレーニング処方には慎重に行わなければならないと、考えています。
最近インナーマッスル、深層筋(深部筋)などと表現される人間の軸を形成する筋肉に対するトレーニングが注目を集めていますが、これに対しても個々それぞれに合わせた指導が必要でしょう。
例えば、内転筋。
これも股関節周囲ではインナーマッスルにあたります。
最近健康雑誌やテレビでよく紹介されているようなのです。
この筋肉の働きは、脚を内側に閉める運動です。こちらにお越しになる方の中に、ジムや整骨院などで内転筋を鍛えるように指導を受けた方がいらっしゃいます。でも、ちょっと待ってください。ここでその方の運動の仕方や普段の姿勢や歩き方をしっかり診ていくと、内転筋を過剰に働かせている場合があるのです。
本当に内転筋のトレーニングが必要なのか、疑問に思うことも度々あります。
この筋肉をよく見て下さい。
全ての内転筋は骨盤と大腿骨を結んでいるのがわかります。つまり、普段の生活の中での内転筋の使い方によっては、股関節そのものの自由度、動かせる範囲を知らず知らずのうちに制限してしまっている場合があるのです。
「だんだん動かしにくくなってきて」
の背景には、このような問題が見え隠れしているように思えます。実は変形性股関節症の方で内転筋に頼って生活している方は意外と多いのです。痛みを抱えている人、今まで痛みを抱えていた人に対するトレーニングは慎重であるべきと考えています。
佐藤正裕(理学療法士)