変形性股関節症の発症予防には、筋力維持が不可欠です。
先日の韓国での国際学会でも、各国から様々な運動方法が紹介されていました。
また、負荷の設定方法についても興味深い報告が聞かれました。
例えば、変形性股関節症の末期であっても、必ずしも低負荷の運動が適しているとは限りません。同じように、初期であっても健常者と同じメニューでは効果が得られないことがあります。
それだけ個別性を配慮した「運動方法」と「負荷の調整」が必要と思われます。
先日初めてお越し下さった方は40代です。
医療機関では臼蓋形成不全との診断、リハビリにまで漕ぎ着けましたが、その内容に満足できずご相談にみえました。
歩き方は健常者並みであり、左右差も少なく、問題がありませんでした。ただ、筋肉を触っていくと明らかに異常な箇所がいくつか確認されました。
こうした方は、これらの筋肉の施術だけ行えば、再び動けるようになります。
ただし、筋肉のボリュームを確認していくと、太ももに比べおしりの筋肉がかなり痩せ細っていました。
目標をどのレベルに置くかにもよりますが、この方のようにランニング復帰を目指す場合には、これではまた痛みを繰り返します。
両者のバランスを整えるような補強トレーニングが必要です。
今はまだ身体が変わる過渡期です。
様々な変化(痛みや違和感)が訪れることも了承していただきながら、定期的なチェックと運動プログラムを実践していただきたいと思います。
こちらの方は60代です。
初めてお越しいただきましたが、趣味の旅行でちょっと無理をしてしまったようです。
この時期の過ごし方は将来を決定付けます。
手術か、あるいは未手術で乗り越えられるのかの瀬戸際です。
明らかな跛行があります。大きく身体を揺すりながら、なんとか歩いているといった印象です。
改めて身体の状況を確認すると、脚長差の影響は、骨盤の傾きと筋力低下から生じていることがわかりました。
時間はかかりますが、まだまだよくなるケースです。
ただし、本当の痛みでの効果を実感するには、ひと山もふた山も乗り越えなくてはなりません。
ただ筋肉をほぐしてよくなる段階ではもうありません。
ちょっとした痛みの増減に一喜一憂することなく、確かな効果を実感していただけますように、プログラムを組み立てていきたいと思います。
こちらの方も60代。
残りの人生設計に合わせ治療手段も悩む年代です。
初回時にはご家族に付き添われ、銀座へお越しいただくのも大変な様子でした。
杖歩行、脚長差もあり、かなりの跛行が確認されました。
施術を繰り返すことで、少しずつ痛みは改善され、今では杖がなくても歩けるまでに回復されました。
他の方とは異なり、あまり難しい運動メニューは組まず、歩き方も大幅には改善させず、可能な限り原型を残しながら、最大限の力が発揮できるよう施術を継続してきました。
約8年。
これを長いととるか短いとるかは、その方の人生哲学、ライフプランにも影響を受けるでしょう。
ここで私ができるのは、正直に、今ある現状と今後の将来に向けての課題を提示することです。
その中で、皆さまにはここでのアドバイスを自由に活用し、今後の生活に役立てていただきたいと思っています。
ご覧のようにすっかり別人のように明るくなられ、銀座にお越しいただくのが楽しみとおっしゃって下さっています。
日本の通常の整形外科の診療とはまるっきり逆行しているかのような考えも、世界では標準的な介入手段として理解され、積極的に取り入れられています。
股関節症の専門家たちは、骨の治療(手術)よりも、症状の予防と改善に向け活動しているのです。
こうした考えのギャップにはじめは翻弄し、不平や不満を訴えていた方たちも、症状が改善され動けるようになってくると、まるで人が変わったかのように、痛みが身体から抜けていく様子が確認されます。
その期間はおおよそ半年です。半年は、勇気を振り絞って、これまでの価値観を捨て、一歩別の考えに飛び込んでみましょう。
自由に、そして自分らしく動けることこそが、最大の薬です。
その調合(運動の種類と負荷量の設定)の役割を迫られているのが、最も身近で関われる我々理学療法士であり、一人ひとりの潜在的な力を封印することなく、正しくリードしなければならないと改めて感じています。
ginzaplus 佐藤正裕(理学療法士)