股関節学会に参加すると、股関節治療の実情が手にとるように理解されます。
数字的には、若年者に施行した場合の骨切り手術は「経過良好」との判断ではありますが、人工関節に至らなかったとしても、実際にはその間も山あり谷ありで、苦労されている方も多くいらっしゃいます。
ご相談いただいたのは、60代の女性です。
「先天性股関節脱臼の後遺症による痛みに長年苦しみ、1988年にキアリ骨盤骨切り術を受けました。しかし近年また股関節の痛みが酷くなりました。医師からは、軟骨がなく、これ以上股関節の状態が悪くなったら人工股関節にするしかないと言われています。」
保存施術を開始し計7回、約1年の成果です。
元々先天性股関節脱臼の既往があり、10代から股関節痛を抱えていらっしゃいました。当時の医師の勧めで骨切り手術を行いましたが、手術後30年が経ち、再び股関節の痛みに悩まされていました。
ご覧のように、杖にしがみつきながら歩くのがやっとの状態で、レントゲン画像を拝見すると、筋肉ばかりではなく、骨もかなり痩せ細っていました。こうした状態で人工関節の手術をしても、手術中の骨折やその後の早期の入れ替えも心配されます。
担当医は人工関節以外方法がないとのお考えでしょうが、本人のやる気さえあれば、まだ道は残されています。
手術直後から約30年に渡ってずっと杖に頼った生活でしたから、振り返れば、大変な勇気のいるリハビリであったと思われます。厳しいトレーニングにも信じてついてきて下さり、本当に感謝しかありません。
「今がその(=人工関節)タイミングではない」
この先に人工関節が待っていたとしても、もう一度チャレンジしたい。ご本人の望みに少しでも近づけましたら、幸いです。
ginzaplus 佐藤正裕(理学療法士)