かつては骨が脆くなった高齢に発症していた大腿骨の骨折ですが、最近では働き盛りの若年者にも見受けられるようになりました。 2021年に改定された「大腿骨頸部/転子部骨折診療第ガイドライン(日本整形外科学会)」では、2000年には年間11万人だった患者数が、 2030年には約30万人にも到達すると予測されています。 それだけ身近になりつつあるのが、大腿骨の骨折です。
大腿骨の骨折を起こしやすいのは、基本的には年齢の高い人、骨粗鬆症の程度の強い人、痩せ型、男性よりも女性に多いのが特徴です。 受傷起点は主に転倒であり、駐車場の車止めにうっかり足をひっかけて転んでしまったり、愛犬との散歩中、自転車の操作ミスで転んでしまうなど、硬いアスファルトに殿部を打ちつけて骨折してしまうことがほとんどです。
受傷直後は歩くことができても、数日経ってから急激に痛みが増して、改めて、レントゲン及びMRI検査を受けた結果、骨折が発覚することもあるようです。
治療方法は、骨折が生じた場所や骨のズレ、転位の程度によって治療手段が決定されます。
表面の骨が欠けた程度の大腿骨の骨折であれば、安静にて加療しますが、骨折線が明らかにある場合には、スクリューやピンなど簡易的な固定器具で固定します。 部位によっては、骨の接合が難しいと判断された場合には、人工骨頭が使用されます。
ところが、最近の傾向としては、骨折の程度に関わらず、いきなり人工骨頭へ置き換える例が増えています。 全ては担当した医師の経験や判断に委ねられますが、人工骨頭の方が、手術後の合併症が少なく回復が早いことが大きな理由です。
また、広範囲に渡った大がかりな骨折に対しては、髄内釘と呼ばれる金具を大腿骨の内部に挿入し、ワイヤーやプレートなどで固定しなければなりません。 この場合は手術後の経過は様々であり、リハビリをして以前と同じように歩けるようになる場合もありますが、杖を用いても十分な歩行能力を獲得できない場合もあります。
手術による治療を行った場合、頻繁に起こり得るリスクとして予期されるのは、大腿骨頭壊死です。金具で固定している間に、大腿骨への血流が途絶え、骨董部分の骨が崩れてきてしまう症状です。 これを避けるためにも、リハビリが大変重要であり、たとえ痛みがあっても、可能な限り体重をかけて動かし、後遺症を生じさせないための運動療法が必要です。
ところが、患者様ご本人のリハビリへの意欲がなかったり、認知機能に問題があると、理想的な運動療法を行うことができず、元通りに歩くことが難しくなっていきます。 実際に、骨折前には自由に動けていた方が、手術後にはまともに歩けなくなることがあるのはこのためです。
リハビリへの意欲がある場合でも、残念ながら日本では健康保険を利用したリハビリは「転倒から150日」と上限が定められています。 医師にもうこれ以上リハビリが必要ないと判断されると、回復に満足が得られなくても、医療機関でのリハビリは打ち切られてしまい、十分な運動療法が受けられなくなってしまいます。
これまでの研究では、片側の股関節の手術をすると、反対側の股関節で骨折を起こす危険性が高いことが明らかになっています。 再発予防も含め、手術後早期から元どおりの歩行獲得に至るまで、積極的かつ継続的なリハビリが受けられるようにしなければなりません。
※大腿骨周辺の骨折については、「TOP>股関節の病気>大腿部周辺の骨折」ページでも全般的な内容や治療方法について解説していますのであわせてご覧下さい。
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