骨切り手術とは、文字通り骨を切る手術で、人工物を使用せずに、自分の骨で治せるというメリットがあります。
日本では1960年代に「寛骨臼回転骨切り術」(RAO:Rotational Acetabular Osteotomy)が考案され、日本整形外科学会でも推奨される最もポピュラーな骨切り術として、現在もなお普及し続けています。 その後、RAOをベースに手術方法にも改良が加えられ、傷口が小さく、身体への負担がより少ない方法としてCPO:Curved Periacetabular OsteotomyやSPO:Spherical Periacetabular Osteotomyなどが考案され、一部の医療機関で実践されています。 また、進行期の変形性股関節症患者様を対象にキアリ骨切り術があります。
医療者間でも、生まれ持った股関節に勝るものはない、との意見もあれば、早期に人工にすべきとの考えもあり、股関節の機能を復活させるための手術方法が、患者様個人の価値観やライフスタイルに合わせ選択できる時代へと変化しています。
実際、年齢的に人工関節はまだ早く、症状がそれほど深刻でない症例に対して、「予防」を目的に骨切り手術が勧められることがあります。
日本では、変形性股関節症の原因の約8割が臼蓋形成不全(寛骨臼形成不全)に起因するとの報告から、主に、若年者で臼蓋形成不全(寛骨臼形成不全)、関節軟骨が残存していれば、RAOが勧められることがあります。
CPOも同様の目的に行われますが、最も大きな相違点としては、RAOは股関節の外側(手術肢位:横向き)からアプローチし、お尻の横や後ろ側の筋肉を切離する必要があるのに対して、CPOでは、前方から(手術肢位:仰向け)のアプローチのため、多くの筋群は温存(低侵襲)されます。
女性の場合は特に気になる傷跡も、RAOでは骨盤から太ももにかけて大きく残りますが、CPOでは、前方10cmほどで下着の中にも隠れる程です。
さらに近年では、RAOでも侵襲による傷は縮小傾向にあります。 手術後のリハビリに関しても、早期離床へと推移し、かつてのように1週間ベッド上での安静は必要なくなりました。 骨切り手術でも、術後1週目から松葉杖歩行がはじまり、段階的に運動強度を上げ、社会復帰を目指していきます。
一方で骨切り手術のリハビリは人工関節手術よりも比較的リハビリが長期に渡り、復職までに3ヶ月〜半年を要します。 ライフイベント(出産、子育てなど)にも直結するため、計画的な決断が望ましいと思われます。
骨切り手術は、自分の骨で治せる安心感があり、学術的にも病期が進んだ例や、中高年の手術でも経過良好の報告もありますが、実際には変形性股関節症が進行してしまうリスクも抱えています。
その理由は、加齢に伴う筋力低下やホルモンバランスの悪化に伴い、骨の強度が低下するためと考えられます。 そのため、骨切り手術では、長期的な経過観察とリハビリを覚悟し、一生リハビリの心構えで向き合う必要があるかもしれません。
医療機関において「骨切り手術(RAO/CPO/キアリ)」の手術を受けたものの、十分にリハビリを受けることができなかったり、不具合が発生したことにより、ginzaplusにお越し頂いて保存施術にて改善した事例をご紹介します。※この情報はブログにてカテゴリ「@施術事例」ハッシュタグ「#骨切り手術(RAO/CPO/キアリ)」「#施術事例・手術後」を指定することでご覧頂くこともできます。