人工股関節手術は、1890年代に象牙による人工関節が使用されて以来目覚ましい開発の発展を遂げ、股関節の治療においては最も躍進し続けている分野です。 15年といわれた人工関節の寿命も今では30年以上もつものまで開発されています。
その耐久性とQOL(Quality Of Life:生活の質)を重視した考えから、若年者や早期の患者様にも盛んに勧められるようになり、 短期入院を謳った欧米式MIS(Minimally Invasive Surgery)が日本でも導入されるになったことは大きな話題を呼んでいます。 また最近の傾向としては、主要都市を中心に各地に人工関節センターが設立され、寝たきり予防へ向けた国の政策も垣間見えます。
しかしながら、人工関節の宿命的な課題として、挿入物の弛みや活動性の高い場合の破損が心配されます。 これまでにも、人体に埋めた人工関節から骨融解が生じ、リコールに発展した事例が報告され、さらに近年の研究では、人工関節挿入後の循環器系(心臓や血管など)や呼吸器系への影響などが指摘され、依然として未知の問題も抱えています。
手術の内容や方法についても、この数年で飛躍的に進歩しています。 これまでは通常、お尻側を大きく筋肉も切り(後方侵入)、人工関節を設置していましたが、最近では筋肉へのダメージを考慮して、太もも側から(前方侵入や前側方侵入)の手術方法が主流になりつつあります。
さらに、より正確性を重視し、ロボットによるナビゲーションシステムも採用されるようになりました。 こうした医療技術の革新により、手術の所要時間も短縮傾向にあり、手術前準備の貯血を行わない施設も増えてきました。
医療機関や執刀する医師により技術や考え方は様々ではありますが、身体への負担は確実に少なくなっています。 そのため、手術後のリハビリも簡素化され、これまでは通常2〜3週程度のリハビリが必要と考えられていましたが、今では早ければ3〜5日程度で退院を促されます。手術後の経過が順調であれば、2〜3週間で職場復帰も可能となり、その後は担当医の指示のもと経過観察となります。
人工股関節手術後のリスクとしては、一般的には緩みや摩耗による再手術、細菌感染、脱臼などがあり、これらについては手術前に説明されます。
一方でリハビリ的に最も身近なリスクとしては「脚長差(きゃくちょうさ)」の問題が考えられます。 手術後、左右の脚の長さが異なることで、歩きにくさを訴え、反対側の股関節に痛みが生じることさえあります。 この数年、手術技術が進歩しても、脚長差の問題だけは未だ解決されていないように思われます。
医師の間でも手術肢位(横向き、仰向けなど)を工夫したり、技術的な問題の解消に努めているようですが、手術を行うタイミングが早過ぎたり、特に片側例の場合には、注意が必要です。
医療機関において「人工股関節手術」の手術を受けたものの、十分にリハビリを受けることができなかったり、不具合が発生したことにより、ginzaplusにお越し頂いて保存施術にて改善した事例をご紹介します。※この情報はブログにてカテゴリ「@施術事例」ハッシュタグ「#人工股関節手術」「#施術事例・手術後」を指定することでご覧頂くこともできます。