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[股関節の基礎] Hip Instability(股関節の不安定性)

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[股関節の基礎] Hip Instability(股関節の不安定性)

先日ある雑誌の取材を受けました。

股関節の基礎についてはお話しをさせていただきましましたが、やはり、目に見えない関節だけにイメージしにくい関節ですね。私も大学病院時代に、実際の股関節の手術に立ち会わなければ、股関節に特化した施術を行おうとは思わなかったかも知れません。変形性股関節症で手術に至るような痛んだ股関節の状況をみると、今、やらなければならない課題がみえてきます。

今日は股関節の不安定性、英語ではInstabilityと表現されますが、どういう現症なのか、こちらについて簡単にご説明します。

ご存知のように、股関節には「可動性」と「支持性」、2つの大きな役割が存在します。肩と同じような関節形状はしていますが、肩と唯一異なる点は、股関節は構造上「深い造り」をしているということです。つまり、肩のような動き優先よりも「支えること」に優れた関節です。
画像をお借りしてきましたが、無闇やたらと動かしはじめると、ご覧のように関節は中心軸から外れ、関節周囲の様々な組織に負担をかけるようになります。よく聞かれる関節唇損傷は、その代表例です。もうだいぶ前になりますが、開脚ストレッチが一時ブームになったときがありましたね。あのときに、いっせいに股関節を痛め、お越しいただくことがありました。

確かに股関節も大きく動いて、可動性に優れたほうがよさそうにも思いますが、実際に手術の現場でみると、構造上、そこまでの耐久性はなさそうです。それよりも、股関節の造りについてよく考えると「支えること」のほうが、この先の人生にとって重要になってくるのがわかるでしょう。バレエや新体操で、あれだけ可動性の改善に鍛えていた方が、大人になって股関節痛と格闘し苦労されています。若いときは柔軟性重視でもある程度は融通が効きます。ただ、大人になってからでは、肝心の「支える」ことも頭にないと、自分の体重すら支えられない股関節に変わってしまうのです。

Hip Instabilityという表現は、日本の整形外科の先生方の間でも頻繁に耳にしますが、保存療法的には非常に重要な概念ですので、特に、臼蓋形成不全や股関節唇損傷との診断を受けた方は、気にかけておきたいですね。大事なボール(大腿骨の骨頭)がお皿(骨盤の臼蓋)からこぼれ落ちることがないうように。

目に見えない関節だからこそ、股関節のことを正しくイメージして、年齢に合わせた股関節の健康への意識、取り組みが日々の生活の中で実践できれば、きっと、ずっと長持ちさせることができるでしょう。

ginzaplus 佐藤正裕(理学療法士)



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