まだまだ暑い日は続きますが、だいぶ過ごし易い季節になりましたね。来週末は北海道に移動します。
さて、運動の秋、変形性股関節症を診断された皆さんにとってもウォーキングは大切です。before/afterでご紹介している通り、この病気が怖いのは、うっかり歩かない生活に陥ることで歩き方すら忘れてしまうのです。
実際に皆さんの施術の通じて頻繁に聞かれるのは、
「元々速歩きだったのに速く歩けなくなってきた」
「他人から抜かされることが多くなった」
まさに歩く機能に何らかの問題が生じている証拠でもあります。
速く歩こうとするとちょこまか小股になってみたり、無理に大きく出してみたり、手と脚が一緒に出てみたり(いわゆるなんば歩き)。
あたまではわかっていても、身体との調和の乱れを経験される方も多いことでしょう。
人間には理想的な歩行速度が存在します。
しかしながら、変形性股関節症とのレッテルを貼られてしまうと、敢えてゆっくり歩いてみたり、歩くこと自体が軟骨をすり減るすと誤解され、もう歩かない生活に徹してる人も少なくないでしょう。
ここに年代別の歩行速度を掲載しましたので、普段のご自身の歩きと照らし合わせてみましょう。
本当にウォーキングは良いの?そんな疑問も湧いてくるかも知れません。
変形性関節症の保存療法について、今、世界的にもウォーキングは注目を集めています。現在の日本の現状と逆行しそうですが、毎年、質の高い研究データが報告されています。
今回は膝に関する論文でしたが、先週末リウマチ系医学誌から報告がありましたので紹介させていただきます。約1000人ほどを対象に8年に渡って歩行トレーニングを実施しています。ウォーキングを保存療法に取り入れることで、痛みの改善とレントゲン画像にも変化がみられています。
唯一、日本人が参考にすべきであって注意をしなければならないのは「歩き方」です。海外のように一様なパターンで歩けるとは想像できず、診断をされたことによる精神的なショックから、あるいは、疾患を抱える以前の歩きの特徴がある場合には、この点に細心の注意を払い歩数を稼ぐ必要があります。
論文の最後には、関節症そのものを治療する方法がないことは周知の如く、「ウォーキングは変形性関節症という病気の再発を抑制したり、進行を遅らせる可能性がある」ことを付け加えています。日本人よりも体重の重い外国人で効果を示しているのですから、日本人が実践しないわけにはいきませんね。
ginzaplus 佐藤正裕(理学療法士)