変形性股関節症の痛みも、初期の段階で、適切な処置を施すことができれば、速やかに解消されることができます。ただしこれも、はじめの導入の段階が極めて重要で、最初でつまづいてしまうと、症状の進行を招き恐れがあります。
初期は初期で終わらせるためのポイントを、今日は皆さんから寄せられるコメントをヒントに考えてみたいと思います。
まず大切なのは、ご自身が発症した股関節痛が、先天性股関節脱臼によるものか、あるいは単に臼蓋形成不全によるものかを知ることです。
時々「先天性の臼蓋形成不全」と仰ってご相談にみえる方がいらっしゃいますが、この辺りを誤って理解してしまうと、一生背負っていかなくてはならなくなります。はじめの段階でご自身のヒストリーを明確にしておきましょう。
わからなければ、納得のいくまで説明を受けておきましょう。初期で終わらせるためにも、重要なポイントです。
変形性股関節症も症状が進行するに従い、歩き方にまで影響を及ぼします。
歩き方も初期の段階であれば、負担も少なく適切な歩きパターンを習得できますが、症状が進行してしまうと関節の拘縮や脚長差などの問題から治すのにとても苦労をします。重要なポイントは、痛み治療と並行し歩きの習得を目指すことです。
痛みがなくなってから歩き方を治そう、などど構えていると大事なゴールデンタイムを見逃すことにもなりますので、要注意です。
変形性股関節症も、進行期や末期に差し掛かるとやがて移動能力にも影響を与えます。
車椅子でお越し下さる方がいらっしゃるように、歩かなくなれば、歩けなくなります。人間、歩き方すら忘れてしまうのです。
歩かない生活はやがて全身へも波及します。各臓器の働きは弱まり、ちょっと動けば息切れ、疲労感から不動の生活を強いられることになります。変形性股関節症を初期で終わらせるためにも、歩かない生活にだけは陥らないよう、注意が必要です。
痛み止めの服用も短期にスパッと用い、効果がなければ痛み止めも見直してもよいのでしょう。
変形性股関節症も、症状が長くなってくる方に限って、痛み止めに頼りがちです。薬の副作用ともいえる自律神経系への影響が、過剰な不安や焦燥感をもたらし、もはや運動療法も効果を果たさなくなります。動くと痛い、痛いから動かないの負のスパイラルが待ち受けています。
初期の段階で終わらせるためにも、痛み止めに頼らない克服の仕方を、早い段階から確認しておきましょう。
基本的には医療機関にかかっても、変形性股関節症においては、画像所見による経過観察と薬物投与、そして、手術を待つ医療に置き換わりがちです。
つまりは、変形性股関節症を診断されても、自分で治す意識を早い段階から植え付けておかないと、このレールに乗ってジリジリと悪化を招くのです。
レントゲン画像などは今やご自身で確保するのが当たり前の時代となりました。理想とする医療機関を求め、あるいは、信頼のおける医療従事者を訪ねる際にも、いつでもどこでも提示できるように、CD-ROMやスマートフォンにデータとして保存しておきましょう。
正しく保存療法を実践する上での重要な心得です。
もうすでにわかっているように、股関節症を発症させやすいスポーツが存在します。
軸足を作るようなテニスやバドミントン、卓球など。決してやってはいけない、ということではないのですが、やるからにはケアの習慣を忘れないでいただきたいと思います。
昨日大阪でお会いしたこちらの方も、テニスをきっかけで股関節痛を発症させてしまっていました。大切なことは、どういった状況にあると悪化を招くリスクがあるのか、ご自身の身体の特徴と現在のコンディションと重ね合わせ、その事実を確認し対処方法を早めに学んでおきましょう。
大好きなスポーツを続けるためにも、股関節へのケアの意識は常に持ち続けていただきたいですね。
簡単ではありましたが、皆さんのコメントから変形性股関節症の痛みを初期で終わらせるための手段を考えてみました。
皆さんそれぞれに家庭の事情があり、価値観、考え方も様々でしょうから、なかなか一様に実践していただくことは難しいでしょうが、やはり、早期に痛みから解放されていく方たちは共通して、股関節はもちろん他の臓器、関節への不調を訴えることも無くなりますし、何よりメンタル面の充実が異なります。
初期の段階で終わらせることができた方たちは、一般的に広がる「変形性股関節症は進行性」などとの情報に振り回されることはなくなり、上手に医療機関とも決別され、新たな人生を歩みはじめています。変形性股関節症と診断されても、このレベルの回復を目指すことは誰にだってできるはずです。ただ、今日取り上げたような難題をうまくクリアーしていけるかどうかにかかってきます。
今日は大阪最終日です。連日たくさんのリクエストをいただき誠にありがとうございます。私も、これまで皆さんとの施術を通じて得られた知識や経験を、できるだけ早く多くの方に知っていただきたいと思っております。
ginzaplus 佐藤正裕(理学療法士)