サッカー日本代表校好発進ですね!皆さんはご覧になっていらっしゃいますか。
今日は「アスリート」と「変形性関節症」の関係性について考えてみたいと思います。
昨年2021年、アメリカから発表された報告です。対象は、2016年のリオ五輪に参加した全アスリート(11274人)のうち320人。四肢(手首、肘、肩、足首、膝、股関節など)の関節のMRIを行い、変形性関節症の割合を調査しています。
結果、16.6%に変形性関節症を疑われる所見が確認され、その約半数は(画像上)「重度」であることがわかりました。
内訳の多くは、膝関節(約50%)であり、その次に足首、そして肩の順です。年齢に関していえば、30歳以降(男女差なく)で最も発症が多く、「加齢」に伴う影響が示唆されています。また、オリンピアンなどエリートアスリートにおいては、現役引退後も変形性関節症に悩まされることが多く、あるイギリスからの報告では、5人にひとりが「変形性股関節症」を診断されているとのことです。
種目別にみると、陸上、体操、ハンドボールに変形性関節症の診断率が高く、股関節症については「柔道」のみ1件報告されています。一方で、アーチェリー、カヌー、水泳、シンクロナイズドスイミング、水球、サッカー、フェンシング、ゴルフ、トライアスロン、卓球などでは変形性関節症との関連は確認されず、比較的安全なスポーツとして推奨されています。実際にginzaplusにご相談いただくケースでは、ゴルフや卓球、新体操などで症状を訴えることが多く、この点においては、個別性(生活習慣や筋力など)も考慮され、もう少し深く追求してみる必要がありそうです。
最近、趣味ではじめているスポーツから変形性股関節症を患い、苦労されている方を多く拝見しております。「適度な運動」が必要であることはいうまでもありませんが、スポーツも、関わり方によっては、変形性関節症と隣り合わせであることも忘れてはなりません。特に、エリートアスリートとは異なり、一般の方では単純な「怪我」から適切な対処方法を見つけ出せず、極端な「安静」や「過剰医療」から症状を悪化させてしまうことがあるようです。
男性では10人に1人、女性では5人に1人が変形性関節症に悩まされる時代です。専門家の間でも、その「予防」と「初期治療」に大きなエネルギーが注がれています。ちょっとでも違和感、痛みを感じれば、速やかに身近な関節症の専門家に一声お掛け下さい。
ginzaplus 佐藤正裕(理学療法士)