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[研究論文] 臼蓋形成不全が変形性股関節症に移行する割合 (約18,000症例を対象に)

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[研究論文] 臼蓋形成不全が変形性股関節症に移行する割合 (約18,000症例を対象に)

臼蓋形成不全は不治の病?

臼蓋形成不全への理解は国により様々です。特に海外の学会に出席すると、日本と海外との違いに驚かされます。

これまでにも確かに臼蓋形成不全=変形性股関節症との関係性が取り沙汰されてきましたが、逆に、影響がないとの報告も多数見受けられます。

医療機関で担当して下った先生のアドバイスひとつで、股関節の一生が左右されることになります。

今日ご紹介するのは、今年2025年に発表された最新の研究論文です。海外で実施された大規模調査です。過去と現在を振り返りながら、臼蓋形成不全を取り巻く問題の本質を捉えていただきたいと思います。

臼蓋形成不全の判定方法

臼蓋形成不全、最近では寛骨臼形成不全(かんこつきゅうけいせいふぜん)と呼ばれることが多くなりました。

形成不全とは、股関節のはまりの甘い状態です。骨盤側の受け側に対して大腿骨の骨頭が外にはみ出るような格好をした関節です。専門家の間では「亜脱臼」と説明されることもあります。決して、すぐに外れることはありませんが、関節症が進行すると脱臼のリスクがあります。

臼蓋形成不全の程度については、主に、レントゲン写真を用いた上記方法が代表的といえるでしょう。

ただ、ここでも問題として取り上げらているように、

1. 測定者が一定しない
2. 仰向けや立位、肢位により個人差がある

など、レントゲン画像での判定にも限界が生じることが述べられています。

リスクが高い年齢層と男女比

では、臼蓋形成不全を抱えた場合、何歳頃、最も気をつけなければならないのでしょうか。いわゆる、関節症が発症する時期です。今回の研究では【主に61~70歳】、この年代で一気に発症のリスクが高まると報告されています。発症の期間は【おおよそ4~8年】です。

それともうひとつ興味深いのは、男女比です。

日本では、圧倒的に女性に多いとされる臼蓋形成不全も、海外では男女比はほぼ同率。つまり、男性でも"隠れ臼蓋形成不全保有者"が多い、ということが示されています。

では、どうして日本では圧倒的に女性の変形性股関節症患者数が多いのでしょうか。それについては、文章中では、Estrogen metabolism, or pregnancy related pelvic instability may play a role in sex differencesなどが要因として考えられるかもしれません。

臼蓋形成不全者へのメッセージ

これまでにも臼蓋形成不全と変形性股関節症の発症のリスクについては何度となく議論されてきました。

今回の結果では、臼蓋形成不全があると変形性股関節症へのリスクが高まると位置づけています。しかしながら、繰り返しになりますが、今までも反論する研究も多数発表されています。

今回の研究結果を改めて振り返ってみると、股関節症が発症し易い60代、これはまさに日本でいうところの「健康寿命」とオーバーラップする年代です。将来的に自立した生活が送れるかどうかの警告期間とも捉えられるかもしれません。

一般的に筋力低下が生じるのが40代といわれています。そして、発症するのが60代と考えると、40~50代の生活がキーになりそうです。一般の人でも足腰にトラブルが生じるお年頃。臼蓋形成不全を抱えた方ではより一層注意し、その先の波に備えていただきたいと思います。

ケーススタディ①

では、これまでの研究成果をもとに、我々専門家は、臼蓋形成不全を抱えた患者様に対して、どういったアドバイスができるのでしょうか。

先日もこのような問い合わせメールが寄せられました。

手術を得意とする先生は真っ先に手術を勧めるかもしれません。しかし、今回の研究でも明らかなように、臼蓋形成不全の方が特に注意すべきは、60代に入ってからです。仮にこちらの方が20歳の大学生と仮定しても、まだ約40年あります。それなのに今、メスを入れる必要があるのでしょうか。

最新の科学的なエビデンス、有力な研究報告を味方に、ご自身の望む方向で解決に近づけましょう。

ケーススタディ②

今回の研究では、60代の臼蓋形成不全例に注目しています。

こちらの方は60代、まさにターゲットとされる年代です。昨年末からginzaplusへ通って下さり、当初のトラブルはほぼ解消され、痛みもなくなってきました。バドミントで痛めた股関節も、そろそろ復帰ができそうです。こうした変化の中先日「先生、痛みがなくなったってことは、屋根ができたってことですか?」このような質問を受けました。

医療機関では「被りが浅いから」との説明を受けてきたようです。確かに骨の問題もありそうですが、どうやらこの方の股関節痛の原因は、単にバドミントによる筋肉疲労が原因と考えられました。

それでも臼蓋形成不全を抱えている以上、将来的な股関節症の発症のリスクは存在します。引き続き、筋力トレーニングとストレッチ、そしてウォーキングを中心とした有酸素運動を継続しながら、上手に60代のこの時期を、乗り越えていただきたいと思っております。

ginzaplus 佐藤正裕(理学療法士)



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